現在、国内のアトピー性皮膚炎患者数は約125万人※1と日本国内でもアトピーに悩む人が多い。
自身も重度のアトピー患者として苦しんできた樋口氏。独自の方法でアトピーの症状を緩和することに成功し、そのノウハウを持って同じように苦しんできたアトピー患者に寄り添う活動を主にYouTubeで発信している。
約40年間苦しんできたアトピーを独学で研究
樋口氏は生まれつきアトピー体質で幼少期よりステロイドを用いた治療をしていたが、高校受験のタイミングでアトピーが重症化したという。アトピーは痒みだけでなく、肌が赤く爛れた見た目になるため、身体的にも精神的にも苦痛を伴う人が多い。樋口氏はステロイド治療を続けたが、劇的に改善が見られることはなく、26歳でステロイドでの治療から離脱するとリバウンド症状を経験することとなってしまった。
脱ステロイドのリバウンド症状はひどい苦痛を伴い、その経験から別の治療法を探すことを決意したという。ステロイドでの使用をやめてから40歳手前までいくつもの病院に通い、ありとあらゆる治療法やサプリメント、鍼灸、気功まで80種類以上の民間療法を試し、最終的には東京の病院で「瀉血(しゃけつ)療法」を試みるが、重症アトピーの症状が改善されることはなかった。この時、樋口氏は自身で治療法を見つけることを決意したという。
アトピーの原因である黄色ブドウ球菌への対応
理学療法士として働いていた樋口氏は、アトピーに関する様々な文献を読み、重症アトピーの原因は黄色ブドウ球菌だという情報を見つけ出したとのこと。黄色ブドウ球菌は人や動物の皮膚に存在する細菌で、健康な人の20〜30%が保菌している。※2 この黄色ブドウ球菌が出す毒がアトピー性皮膚炎を悪化させているのである。当時はまだ黄色ブドウ球菌がアトピーを悪化させるという認識は広まっていなかったため、今度は黄色ブドウ球菌を減少させる方法を模索した。
黄色ブドウ球菌を減少させる方法として、イソジンを用いたイソジン療法というものがあるが、黄色ブドウ球菌以外の良い常在菌まで減少してしまうという。多くの方法を探した先に辿り着いたのが、微生物を用いた黄色ブドウ球菌を減らす方法だという。入浴時に微生物を混ぜた浴槽に浸かるということを約3ヶ月継続することで、重症アトピーを軽度のものまで和らげることができると樋口氏は語る。
自身が40年間も悩み続けてきたアトピーがたった3ヶ月で軽度なものへと改善されたため、これしかないと思い、すぐにモニターを募りテストした。すると10人中10人が改善され、最初は脱ステロイドによる離脱症状は見られるものの、微生物による副作用はなかったという。
アトピーで悩む人に1人でも多く伝えるためYouTubeで発信
現在樋口氏は、より多くのアトピーで悩む人たちを救うべく、YouTubeを通じて、実際に重症アトピーを微生物を用いた入浴療法により改善した人々の声を発信している。この微生物を用いた黄色ブドウ球菌を減らす方法は、最初に脱ステロイドの離脱症状が出ることで当人はとても辛いという。そのため本人に治す覚悟があるかはもちろん、ご家族の理解があるかなども面談で確認し、アトピー重症患者と二人三脚で改善に取り組んでいる。
黄色ブドウ球菌が減少し、重症アトピーから軽症アトピーに変わった後は、衛生環境を保ってもらったり、食べ物に気をつけてもらったりと綺麗な肌を保つアプローチに変わるそうだ。
「YouTubeで患者の生の声を配信して、効果として示せているのは自分だけだと思います。自分が苦しんだからこそ、同じように悩む人たちを1人でも多く減らしていきたいんです。」と樋口氏は語る。これまでの改善率は約8割で、10人に2人は黄色ブドウ球菌の種類が違う可能性があるのだという。今後そういった人々まで改善できるように樋口氏は台湾の国立大学と黄色ブドウ球菌に関する共同研究を進めている。「ゆくゆくは黄色ブドウ球菌の検査を行った上で、より的確な改善へのアプローチができるようにしたい」と語った。
参考)
※1. 厚生労働省「患者調査」7
※2. 一般社団法人 日本アレルギー疾患療養指導士認定機構
■プロフィール
理学療法士。自身も生まれつきのアトピーで、40年もの間苦しんだ経験をもつ。アトピーと黄色ブドウ球菌の関係性に着目し、ステロイドを使わない微生物治療を開始。世の中からアトピーを根絶するという情熱と使命感をもち、日々、アトピー患者と向き合っている。株式会社アドラボ0358
https://www.teatemainsdor.com/