阪神甲子園球場では、高校球児による「熱い戦い」の真っ最中。
なお、今年の甲子園では、選手が足をつる場面をよく見かける。
その一方で、ドームや夜に行われるプロ野球の試合では、選手が足をつることはまれだ。
今回は、なぜ甲子園球児が足をつりやすいのかについて解説する。
夏の甲子園は酷暑
甲子園の温度は、35℃以上になることが多い。
特に今年は、全国的に暑さが際立っている。
体を動かさずに外にいるだけで、大量の汗が吹きでてしまう。
そのような厳しい暑さの中で野球をしていると、体感温度は40℃を超えてくる。
そうなると体が熱くなり脱水症状が出て、最終的には熱中症を発症してしまうのだ。
熱中症になると、野球選手は足をつることが多い。
熱中症が要因
熱中症とは、暑い中に長時間いることで、体が熱くなりすぎることが原因だ。
体温が高温になると冷やそうとしてするが、熱中症になると体温のコントロールが壊れてしまう。
そして、水分が蒸発して脱水症になり、体内のミネラルバランスも崩れていく。
熱中症の初期の症状は、めまい、だるさ、吐き気、頭痛など。
重症化すると、けいれん、足がつる、意識がぼんやりする、などの症状が現れる。
甲子園球児は、特に足を激しく動かすことが多い。
そのため、足の症状が出やすく、足がつりやすいのだ。
「水分補給」と「体を冷やす」
熱中症になったら、まずは安静にして欲しい。
そして涼しい場所に移動して、ミネラルを含む水分補給が必要。
体を外から冷やすには、氷のうや氷をタオルにまいて、わきの下や首、足の付け根にあてるのをおすすめする。
体を内からも冷やすには、ナトリウムやカリウムを含むよく冷えた飲料水を飲むのが良い。
また、歩けない、あまりにもだるい、意識がもうろうとする、などの症状がある時は、速やかに病院を受診しよう。
「水だけ」を飲まないで!
熱中症予防のためには、何も含まれていない水だけを摂取してはいけない。
熱中症になると、体内には水分だけでなくミネラルが不足している。
この状態で水だけを飲むと、よりミネラル濃度が薄くなってしまい、けいれんや足のつりが悪くなってしまうからだ。
また、水分補給補給さえしていれば熱中症にはならない、と誤解されていることが多い。
熱中症予防には、水分補給以外にもきちんと体を冷やすことも大切である。
「ミネラルを含む飲料水を飲む」ことと、「体を冷やす」ことを意識しながら夏を乗り切って欲しい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。