認知症は、約5人に1人が発症する病気である。
認知症の代表的な症状は物忘れだが、それ以外にもさまざまな症状が現れる方もいる。
今回は、意外と知られていない認知症の症状について、そして「認知症かもしれない」と思った時の対応法について解説する。
3大初期症状
まず、認知症の初期で見られる有名な症状は、記憶障害、見当識障害、実行機能性障害だ。
記憶障害とは、特に最近の記憶を失いがちである。
反対に、昔の記憶は残りやすい。
また、「自分のものを盗まれたと思いこむ」、「食事を食べたことを忘れる」なども記憶障害の症状である。
次に見当識障害とは、自分と周りの状況から自身がいる状況を理解できなくなることだ。
具体的には、人の名前や、場所、日付が分からなくなってしまう。
最後に実行機能性障害とは、料理などの工程が必要な作業ができなくなる症状だ。
これらの症状は、いわゆる年のせいにされやすいが、れっきとした脳の病気である。
意外な症状も…
有名な認知症の症状の他にも、次のような症状が現れたら注意してほしい。
まずは、怒りっぽくなることだ。
以前は穏やかだった方が、だんだん細かい事でも不機嫌になりやすくなる。
また、認知症にもさまざまなタイプがあり、人格が完全に変わってしまう場合もある。
次に、認知症になると目や耳から得た情報を上手に整理できない。
簡単にいえば理解力が低くなるのだが、認知症の症状として気づかれにくく、本人が辛い思いをしてしまう。
暴言・暴力・幻覚
そして、認知症の方は、その悩みからさまざまな行動をしてしまう。
例えば、物忘れなどをして自分が注意された時には、怒ってしまい、興奮して暴言や暴力をふるってしまうこともある。
また、やる気がなくなってしまい、うつのような無気力で苦しむこともあるのだ。
そして自分の世界に閉じこもり、妄想や幻覚が見えはじめる。
疑った時には早めに病院へ
認知症は、放置していると進行していってしまう。
一昔前は効果のある薬が少なかった。
しかし現代では、認知症そのものを治す薬はないものの、進行速度をかなり遅らせるものが使える。
そのため、気づいたら速やかに、認知症の専門である神経内科や心療内科、精神科を受診してほしい。
誰でもかかる可能性がある認知症。
早く治療を開始しなければ、本人も周りも辛い思いをする。
年齢のせいにせず、一度は専門家の意見を聞いてみよう。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。