ビールなどが、特においしく感じる季節の到来。
しかし、アルコールは依存性が非常に高い飲料だ。
知らず知らずのうちに依存してしまい、自分自身にも周囲の方にも迷惑をかけている場合がある。
今回は、アルコール依存症の怖さやメカニズム、治療法について解説する。
誰でもアルコール依存症になる
アルコール依存症とは、お酒を飲むコントロールがきかない状態。
アルコール摂取量が増えることで、少しずつ精神的にも肉体的にもアルコールに依存していく。
アルコール依存症になりやすいタイプとして、遺伝的な要素や、女性、一部の精神疾患を患っている方などが報告されている。
しかし、どのような性格の人でも、飲酒量が増えていくことでアルコール依存症を発症するため、注意が必要だ。
飲み始めは快楽を味わえるが…
アルコールを飲むと、脳の中で、快楽や喜び、心地よさなどの感情を引き起こすドーパミンという物質が分泌される。
しかし、ドーパミンは無限に分泌されるわけではない。
すると、アルコールを飲んでも、あまり快楽を得られなくなるのだ。
そして、もっと強烈な快楽を得たいと考え、さらにお酒を飲むことになる。
しかし、ドーパミンは枯渇しているため心地よさは感じられず、むしろ焦りや不安などの不快な感情がうまれてくる。
そのようなマイナスの感情により、さらにアルコールを飲みたくなってしまう。
この悪循環を繰り返すのが、アルコール依存症なのだ。
具体的症状は?
アルコール依存症の初期症状としては、飲酒量が増えることが有名。
そして少しずつ、お酒が手放せなくなってきて、不適切な飲酒をしてしまう。
最もアルコール依存症かどうかを見分けるポイントは、朝、目を覚ました時にアルコールを飲んでしまうかどうかだ。
また、お酒をやめたいと思っていてもやめられないことも、アルコール依存症に特徴的な症状。
アルコール依存症の治療法
アルコール依存症を治療するためには、まずは本人のアルコールをやめたいと思う気持ちが重要だ。
そして、基本的には数ヶ月にわたる入院治療となる。
治療目標は、完全にお酒を断つこと。
アルコール量を減らすだけだと、すぐに再発してしまう。
実際にアルコール依存症を継続して治せる方は、2〜3割程度しかいない印象がある。
アルコールを辞めるためには本人の強い意志が必要だが、医療機関や患者どうしでサポートをしていく。
早めに治療をした方が治療しやすいため、不安な方は早めに心療内科に相談しよう。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。