医療業界には、次々と新しい薬が販売されていく。
新しい薬は、今ある薬よりも効果があるなどのメリットがあるからこそ販売開始される。
しかし、本当に安全に使えるのだろうか。
さまざまな試験を実施
薬が販売され始める前までに、安全性を確かめるために数百人もの方に薬を投与して確かめる。
では、どのような人で安全性をチェックされているのだろうか。
実は、副作用が出た時にすぐに分かるようにするため、あまり他の持病がない人が選ばれているのだ。
年齢も若めの患者が多い。
しかし実際に投与されるひとは…
医師が薬を処方する時は、さまざまな患者さんに投与する。
つまり、色々な持病を持っている高齢者の方が多いのだ。
若くて基本的には体力がまだある患者では大きな副作用が出なかったものの、そのような少し弱った方には出やすいことは多い。
また、薬同士の相互作用などで、危険な副作用が出てしまい、命に関わることもあるのだ。
妊婦・子どもにも注意
特別なケースでない限り、基本的には市販前に妊婦や子どもへ投与することはない。
特に妊婦では、お腹の中の赤ちゃんへの影響が心配だ。
子どもも、小さな大人ではなく、独特の体の機能があるため、若い成人とは違ったお薬の効果や副作用が出ることがある。
体重も少ないため、投与量も大人に比べて当然少ない量を投与しなければならない。
市販されてからも調査が続く
新しい薬は、市販前には投与されていなかった患者にも、市販後には処方されるためさまざまな方に用いられることになる。
この際、実際の臨床現場で、新たに認知される副作用が出てくる可能性が十分にある。
そのような悪いイベントを早く察知するため、新しい薬が販売されてから半年間は、製薬会社も特に注意して副作用に注意するのだ。
新しい薬に飛びつくと…
新しい薬が販売されると、ついつい使ってみたくなりがちだ。
特に困っている患者にとっては、嬉しいニュースであろう。
しかしその一方で、必ず安全が保障されているわけではないということに注意が必要だ。
医師としっかり相談しながら用いるようにしよう。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。