病気には、さまざまな治療法がある。
抗がん剤もそのひとつだ。
抗がん剤は、当然のことではあるが、がんに対して用いる治療薬である。
さまざまな副作用が心配で悪いイメージが強い抗がん剤だが、最近は副作用のコントロールもうまくいくようになってきた。
今回は、抗がん剤の副作用対策の進歩について解説する。
重度な吐き気はないことが多い
抗がん剤の副作用と聞くと、吐き気があるイメージがある。
たしかに、一昔前はかなり苦労した副作用のひとつだ。
しかし近年、吐き気どめの進歩が著しく、多くの患者が吐き気をほとんど感じずに抗がん剤を受けられるようになった。
毛が抜けない抗がん剤も数多い
医療ドラマのイメージが強い影響なのか、頭の毛が抜けることを心配する患者も多い。
特に、女性であればなおさらだ。
乳がんでは、たしかに毛が抜ける抗がん剤治療が多い。
しかしその一方で、困ってしまうほどに頭の毛が抜け落ちる抗がん剤の種類は、限られているのも事実だ。
がんの種類によって使用する抗がん剤は違うため、適宜医師に確認して欲しい。
食欲が落ちない抗がん剤も
なんとも言えないしんどさがあり、食欲が出なくなる患者もいる。
がんにかかった場合は、少しでも体力をつけた方が良いため、ある程度しっかりと食事をとることが大切だ。
抗がん剤は、できるだけ患者に負担が少ない一方で、がんに効果が出る薬剤が開発されてきている。
例えば、ノーベル賞を受賞した薬剤である、オプジーボなどは食欲が落ちにくい。
このような薬剤に変更することで食欲が回復し、体重が元通りになった方もいる。
用量を調節できる
実は、ほとんどの場合、抗がん剤を使う量を調節できる。
最近になりさまざまな副作用に対する薬剤や対策が開発されてきたが、それでもなお副作用に悩むケースがある。
そのような場合、10〜20%程度量を少なくするだけでも、目に見えて負担が減る。
抗がん剤治療は、継続することに意味がある。
副作用を無理やり我慢して抗がん剤治療を受けていても、体も心も耐えきれなくなり、最終的には治療を受けられなくなることもある。
抗がん剤の副作用を適切に知り、無理せず続けられる範囲で継続するのがおすすめだ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。