病院に行って医師と話している時、医師の電話が鳴るのを見たことがあるだろう。
実はほとんどの場合、PHSを院内の連絡手段として使っている。
今回はその問題点について解説する。
初めはポケベル
医師への連絡手段は、歴史とともに変わってきている。
一昔前は、医師のポケベルを鳴らすことで何か用があることを伝えていた。
院外にも持ち出せたため、プライベートの時にはポケベルが鳴れば、近くの公衆電話などから職場の病院に電話していた。
時代が変わりPHSに
20〜30年ほど前からPHSが急に普及してきて、それが医療界にも取り入れられた。
携帯電話と比べて電磁波が弱いため、医療機器に影響を与えにくい点がメリットだった。
なお、現在は携帯電話の電波でも、医療機器に影響を及ぼすことはない。
また、月額料金も安く、電波が届く範囲を病院内に設定することで、仕事専用の連絡手段として広く使われてきた。
2020年7月にPHSのサービス終了
実は2020年7月に、PHSのサービス提供が終了した。
病院では、アンテナを立てることで、内線用として使い続けられている。
新しくスマホを導入するよりも、はるかに安いからだ。
プライベート携帯も連絡用に使われる
PHSのサービス提供が終了し、PHSは完全に院内でしか連絡できないようになった。
医師への連絡は、医師が院外でプライベートの時間を過ごしている時にも行われる。
その時に使うのが、医師の私用の携帯電話なのだ。
何かあればいつでも連絡できるように、病院中に医師の携帯電話番号が貼られている。
患者さんや関係者以外の方でも見れるような場所に、掲載されていることさえある。
これでは、プライバシーが全く保たれない。
また、医師に電話しても繋がらなかった時、医師は折り返し電話をしなくてはならないという暗黙のルールもある。
その時の携帯電話料金や、電話対応代はもちろん支払われない。
加えて、仕事関係のSNSのグループ作成やメッセージのやり取りも、プライベートの携帯電話で頻繁に行われる。
PHSは患者さんにも医療関係者にとっても不便
PHSは、基本的に電話で話すのが前提のものである。
患者さんと医師が大切な話をしている時や処置をしている時にPHSが鳴れば、一時的にPHSに出たりして中断されてしまう。
患者さんにも失礼だし、医師側も集中が妨げられる。
要件が急いで対応しないで良いようなことであればなおさらだ。
スマホを導入すべき
スマホが導入されれば、メッセージ機能も自在に使える。
よほどの急用でなければ、後でメッセージをゆっくり読み返して対応できるし、指示内容などを何回も確認できる。
また、プライベートの携帯番号を知らせる必要がなくなり、仕事とプライベートをきちんと分けられる。
アプリも入れられ、薬や最新の治療内容をその場で調べることもできる。
コストはかかるが、患者さんにも医師にもメリットが大きいため、是非導入して欲しい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。