病院では、入院患者の対応をするために、24時間医療スタッフがいる。
患者を診るために必要なことであり、夜間もスタッフがいて当然のことだと思う。
しかし、医療現場を支えるためにさまざまなことが犠牲になっているのを知っているだろうか。
今回は特に看護師の病院での夜勤の実態についてレポートする。
夜勤の時間帯
夜勤は主に、17時頃から翌朝9時頃までが一般的だ。
多くの病院では、40〜50人程度の入院患者に対して3〜4人で夜勤をする。
つまり、看護師1人あたり10~15人程度の入院患者を担当している。
夜勤が始まる前に
毎回の夜勤で担当患者は変わるため、夜勤が始まる前に担当患者について把握が必要だ。
そのためほとんどの看護師は15〜16頃に出勤することとなる。
夜勤中は忙しすぎる
夜勤中は、よほど患者の状態が落ち着いていない限りは休憩時間も取れないことが多い。
実際は患者の状態が変わることは日常茶飯事だし、落ち着いていても、患者の対応、患者の巡回、内服薬のチェック、点滴交換、採血などの検査、食事やトイレの介助など大忙しだ。
実際、食事はおろか、水分摂取やトイレさえも行けない時も多く、看護師の多くが悲鳴をあげている。
夜勤が終われば
夜勤帯の時間が終われば、看護記録の作成が待っている。
看護記録とは、患者の記録のことで、どんな内容の発言があったか、どのようなイベントがあったか、そしてどのように対応したかなどが書かれている。
看護記録を書いているとあっという間に10時や11時頃になる。
よく夜勤明けの看護師が、疲れ果ててカルテの前で寝ている姿を見かけて心が痛む。
夜勤の実際
つまりは、夜勤看護師は、最低でも16時頃から翌朝10時頃まで18時間も病院にいるのだ。
さらにいえば、夜勤帯以外の時間は、看護記録や担当患者の予習をしていても時間外労働として認められないことがほとんどだ。
夜勤明けの日に日勤が続くことはほぼないが、次の日も夜勤がある場合がある。
そうなると、11時頃に家に帰ってきて、15時頃に起きて病院に行かなければならない。
このような睡眠時間でまともに労働ができるのだろうか。
夜勤のストレスで病気になり、看護師を辞めてしまった方も何人も知っている。
看護師の夜勤改善が必須
医療は患者に利益をもたらすためにある。
このような看護師の夜勤の実態では、患者にいつ不利益が起きても不思議ではないし、現実問題として起きてしまっているように思う。
早々に看護師の夜勤の改善が必要だ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。