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キャバ嬢が生まれる瞬間(84)〜大学卒業まで働くと決めた奈々〜


三浦奈々(20歳・仮名)

 私は子供の頃から血を見るのが怖く、注射が大嫌いだった。体調が悪くなっても注射が怖いから、親に心配されないために、隠れてやり過ごしていたぐらい。でもさすがに隠せない病状になったら病院に行くしかなかった。そしていざ病院で注射を打つ際、今にも泣き出しそうな私を見て、優しく励ましてくれたのが看護師さんだった。

 その時に私は看護師さんという仕事が、なんて素敵なんだろうと思ったんだよね。それがキッカケで2年前、看護大学に通うために上京した。実家は裕福な家庭じゃないから仕送りもない。そのため学費と生活費は、アルバイトでまかなわなければならなくなった。

 でも看護大学は勉強だけでなく実習もあり、普通の大学と比べるととても忙しい。だから毎日アルバイトに出る余裕がないんだよね。そこで私が始めたのがキャバクラだった。キャバクラは短時間の労働で高い時給。さらに融通も利くから非常に助かっている。

 ただ忘れてはならないのは、看護師になるという目的。キャバの世界は華やかだし、普段の生活では出会えないようなお客さんも、たくさん来る。だから中には、その世界に染まってしまい、抜け出せなくなる子もたくさんいるみたい。でも私は、大学を卒業するために働き始めたのだから、絶対に退学しないよう、心を引き締めながら働いている。いつか子供の時に出会った、あの看護師さんのように、素敵な看護師さんになりたいから。だから卒業までは、この世界でがんばっていくつもりです。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真・flashingwind

【記事提供:リアルライブ】
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