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キャバ嬢が生まれる瞬間(61)〜歯の治療費を稼ぎたかった女〜



 川田陽子(25歳・仮名)

 私は昔から歯並びがとても悪かった。前歯が少し出ていて上部分には八重歯がある。さらに顔が小さいため下の歯は窮屈な状態となりガタガタ。だから歯並びのいい子がうらやましかった。

 さらに私は出不精な性格のため歯磨きもあまりせず、疲れて帰ってきた日はそのまま寝てしまうなんてことも珍しくない。たとえ磨いたとしても歯並びの悪さから、隅々まで磨くことは難しく、どうやったって絶対に磨き残しができてしまう。

 そんな状態なので、月日と共に色々な場所に歯垢が溜まり、虫歯が何本も出来ていた。また歯と歯の間は黒ずみ、奥歯には大きな穴がポッカリと、まるで隕石が落ちたみたいに空いていた。そうなっても私は放置し続けたんだよね。でもある日、とてつもない痛みが襲ってきて眠れないほどだった。

 仕方なく歯医者に行ったら、どうやら歯を入れ替えるしかないみたいで言う通りにした。あまりお金がないというのをアピールしすぎたのがいけなかったんだと思う。気がつくと私の前歯の一部が銀歯になっていた。幸い八重歯の裏だったから、目立たないと思ったのだけど、光の反射によってはキラキラと光る時があるみたい。

 ある日、なんでもズバズバ言う友達から「おばあちゃんみたいだね」って銀歯をいじられてから、人前では笑えなくなった。そして最悪なことにその歯だけじゃなく、気がつくと他の歯も色が変色して、抜かなければならない状況になっていた。でもインプラントを施す場合、私のレベルだと大金がかかるんだよね。

 でも、もうこれ以上恥ずかしい思いはしたくないから、お金を稼ぐことにした。それで私が始めたのがキャバクラ。働いて最初の給料をさっそくセラミック1本に使ったよ。一番目立つ銀歯だったから、とにかく早く治療したかった。でも他の歯を医療するにはまだ全然お金が足らない。

 これからもっと笑えるようになるために、少しずつ歯の治療をしていきたいかな。笑わない女性より、思いっきり笑える女性の方が指名も増えると思うし、私自身も幸せだと思うから。あとは、どれだけ疲れていてもこれ以上、虫歯を増やさないように歯磨きは欠かさないようにします。

(取材/構成・篠田エレナ)

【記事提供:リアルライブ】
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