
女優秋吉久美子(72)が、11月6、7日に東京・新宿文化センター・小ホールで行われる劇団椿組番外公演「“ことば”の音楽会 俵万智・短歌の世界と戦争童話集~平和への思いを込めて~」に出演する。歌人・俵万智の短歌を軸に、朗読と演劇、クラシック音楽を組み合わせて演じる。秋吉と椿組主宰の俳優外波山文明(79)、ピアノ演奏・なおなおに聞いてみた。
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秋吉「朗読劇だと思っていたら、朗読と劇でした(笑い)。朗読と劇が混じり合って、たまに私も劇の中に入ったり、朗読という立場に回ったりする。そういうタイプのものの中に音楽も入ってくるんです。歌も1曲歌いますけど、途中で『ちょっと歌ってくれない?』という感じで(笑い)」
作品は1987年(昭62)に280万部超えのベストセラーとなった「サラダ記念日」や「チョコレート革命」などで知られる俵万智の短歌100首以上が元になっている。なおなおが短歌にメロディーをつけ、ピアノやバイオリンで出演奏。構成・演出は嶽本あゆ美。
秋吉「短歌に曲がつくって、結構難しいですね。苦戦しました。言葉から来る衝撃ってあるじゃないですか。彼女自身の感性から来るもの。それが歌になってメロディーがつくと、倍増されるかというと、相殺されちゃうところもある。今、それを悩んでいる最中です。短歌とクラシックの楽曲という、この何とも言えない組み合わせ。字で見るのと耳で聞くのも違うでしょ。朗読して音になっちゃうとどうなるのか、その上に音楽がつくとどうなるのかなってでも、難しいから楽しいんですよ。難しくないと楽しくないじゃない」
俵の短歌を年代ごとにたどりながら、その背景にある時代や社会の変化も浮かび上がらせる。少女のような感性から恋愛、結婚、出産、子育て、家族との別れや老いが、短歌を通して描かれる。
秋吉「俵さんの特徴って、ギクッとさせることじゃないかな。自分の中の知らない部分を掘り起こされたような。そういうところがありますよね。1人の女性の生き方ですよね。女性の成長とともに社会も浮かび上がってくる。小さな家庭の中にいた人が、子供を持つことによって社会と向き合うようになる。そういうことも、すごく短歌の中に表れていると思います」
今回の舞台では、戦争を題材にした野坂昭如と黒田征太郎の童話集「ウミガメと少年」も上演される。外波山は01年から、同作を一人芝居として上演し、戦争の記憶を次世代に語り継ぐ活動を続けてきた。
外波山「アングラ出身なんで、長いことテーマ性や社会に対する訴えが強い芝居をやってきました。今回は音楽会ということで、言葉も大事にしながら、お客さんに緩やかに見てもらえればいい。ただ、こちらの気持ちとしては攻撃的な部分もあります。主張を前面に押し出すというより、一人の女性の人生の変遷を通して伝えたい」
短歌に曲をつけるという、何時に挑戦したのがなおなお。
なおなお「子供の時から作曲とピアノ両方の教育を受けていたので、自分の楽曲で発信した方が演奏もお客さまに伝わるっていうコンセプトで、ずっと自分の楽曲だけでいろんなコラボをし続けてきました。嶽本さんから“短歌を歌にしてほしい”という脚本をいただきました。短歌をどうやって楽曲にしたらいいんだろうと、思いました。しかも『サラダ記念日』なんかは一世風靡(ふうび)したものじゃないですか。ちょっとどうしようってすごく悩みました」
◆秋吉久美子(あきよし・くみこ)1954年(昭29)7月29日、静岡県富士宮市生まれ。高校卒業まで福島県いわきですごし、72年に映画「旅の重さ」で女優デビュー。74年、藤田敏八監督の日活青春映画「赤ちょうちん」「妹」「バージンブルース」でトップスターに。76年映画「さらば夏の光よ」「あにいもうと」でブルーリボン賞主演女優賞。80年NHK「夢千代日記」。81年映画「の、ようなもの」。82年映画「さらば愛しき大地」。87年映画「男はつらいよ 寅次郎物語」でマドンナ。88年映画「異人たちとの夏」。95年(平7)映画「深い河」。趣味は動物調教、料理。162センチ。血液型O。
