
12月6日から新宿K's cinemaで1週間限定公開されていた若手映画監督、上坂龍之介氏(31)のデビュー作「レンタル家族」が7月31日から同劇場などで本公開されることが決定した。宣伝配給会社らが発表した。他の上映劇場は後日発表する。
今年5月の「第23回中之島映画祭」でグランプリ受賞、「ハンブルク日本映画祭」など複数の映画祭にもノミネートされた話題作。多くの配給会社から上映の声もかかる中、上坂監督は「1週間全ての回が満席にならなかったら次の作品に切り替えます」と宣言し、昨年末から1週間限定上映。見事に自主映画としては異例の全回満員を達成した。一時アクセスが集中してサーバーがダウンする事態も起こる反響ぶりだった。
上映した新宿K's cinemaは、17年にメガヒットした「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)の聖地でもある。同作も当初は6日間限定上映だが、口コミが広がり全国上映へと発展。上坂監督も「そうしたムーブメントがまた起きたらいいな」と思いを語り、「やれることは全てやって、ダメだったら潔く引きます」と公開約1カ月前からはほぼ毎日スタッフや演者らと劇場に足を運んでチラシ配りなども行い、PR活動にも力を入れていた。
上坂監督は本上映決定を受け「“これまでの人間関係の否定とこれからの人間関係の肯定”をテーマに描きました。本当は心が通う大切な存在なのにこれまでの多数派が作った倫理観、常識的なものが邪魔をして友達であるべき人が友達じゃなくなったり、恋人であるべき人が恋人じゃなくなったり家族であるべき人が家族ではなくなったりしていることが現代では多いと思います。出会い方、年齢の違い、ちょっとした違いが本来大切にするべき人間関係を邪魔していると感じます。最近は人間関係のあり方が変わってきていると思いますがそれでもまだ本来大切にするべき人と人の繋がりを否定される瞬間がありそれを肯定したくてこの映画を制作しました」とコメントした。
◆「レンタル家族」あらすじ 東京の会社に勤務する洋子は仕事で多忙な毎日を過ごす傍ら、定期的に実家へ帰省をし、父忠勝とともに認知症の母千恵子のケアをしている。千恵子の症状は近頃進行が早く、洋子が数年前に離婚したことさえ忘れ、帰省の度に元夫と娘について聞くのであった。ある日、洋子は取引先の担当者から「レンタル家族」というサービスを紹介され、体験レンタルを強く勧められる。戸惑いつつもレンタル夫を家事代行として自宅に呼び、派遣された松下豪と馬が合った洋子は、千恵子のことを相談。すると松下は、自分を夫、知り合いの子役・安田朱里を娘として、家族を演じることを提案し…。
◆上坂龍之介(こうさか・りゅうのすけ)1995年(平7)1月30日、兵庫県加西市生まれ。小学生の時に見たエドワード・ズウィック監督の映画「ラスト サムライ」の影響で映画の道を志す。映画学科のある大学に通いながら音楽番組のアルバイトとして働き、卒業後に制作会社で1年間勤務。格闘技番組のADなどを務めた。18年に自身の制作会社を設立して映像の仕事を行いながら映画監督を目指す。
