
女優齊藤京子(28)が、映画では初の単独主演作「恋愛裁判」(深田晃司監督、1月23日公開)に挑んだ。日向坂46を卒業して約1年9カ月、「オリジナルの道を進みたい」と語る齊藤は、映画、ドラマ、バラエティー番組の司会など、活動の場を広げている。作品や女優業への思いなどを聞いた。【小林千穂】
★日向坂46時代をあらためて実感
恋愛禁止ルールを破ったアイドルが裁判にかけられる物語。主人公の裁判、周囲との人間関係を繊細に描いた。実話を元にした物語。脚本を読んだのは日向坂46を卒業して約1年たったころだったという。
「内容や題材が衝撃的でしたし、いち観客としてすごくおもしろかったんです。単独主演ということもうれしかったんですけど、この主人公をぜひやりたいという気持ちでした」
深田監督と面談形式のオーディションを行い、正式に出演が決まった。
「歌とダンスはしたんですが、物語に関するお話、アイドルとしてどう過ごしてきたかなどがメーンでした。作品やアイドルのことについてひたすら監督と話せる楽しい時間でした」
深田監督と話した中で、気付いたこともあった。
「シンプルに、自分が好きでやってたお仕事だったなということをあらためて実感しました」
脚本の描写の精密さにも驚いたという。
「ト書きの部分など、アイドル業界にいる人しか知らない単語がたくさんあって、監督や脚本の方がアイドル業界をすごく理解して書いたことが分かりました。よりリアリティーをもって演じたいと思いました」
劇中のグループ、ハッピー☆ファンファーレのセンターとして、歌やダンスも存分に披露した。
「アイドルシーンはひたすらアイドルをまっとうしました。5人がすごく仲が良く、撮影というよりアイドル活動でした」
歌、ダンスの楽しさをあらためて知った。
「もともと得意で好きだったので楽しかったです。映画館に行けば、また歌ってる姿を何回も見られてうれしいって家族も言ってました。8年間やってたので、今も(歌もダンスは)全然大丈夫です」
★ステージから法廷「孤独なシーン」
恋愛が露見しアイドルグループを抜けた主人公。所属事務所から訴えられたことで、ステージと法廷、立つ場所が一変する。スクリーンに映る落差に驚く。
「アイドルシーンの後に裁判シーンを撮ったんですが、撮影の雰囲気はガラッと変わりました。出演者の皆さんも変わり、世界観や色味も変わって別作品を撮っているようでした。仲良くなったハッピー☆ファンファーレのメンバーのクランクアップを見届けた後だったので、本当に孤独な裁判のシーンでした」
自らアイデアも出して撮影を進めたという。
「キラキラ感から、どよんとしたビジュアルにしようと、メークでも気になるところを全部隠さず出しました。ここはもうちょっとこうするとかわいくなる、という部分は顔の中で分かってるんですが、そこはもうやらなくて大丈夫です、と。目線や話し方もすごく気を使って演じました」
大写しになることに勇気がいったのでは。
「この作品にかける思いがすごく強かったですし、初主演映画だったというのもあります。映画で主演、何回もできることではないので力を入れました」
役に没入すればするほど考え込んでしまいそうな展開にもなる。
「もちろんそうでしたね。裁判のシーンでは、(劇中で)アイドルをやってた時の楽しさやメンバーの笑顔を忘れず証言台まで持っていきました。苦しめてごめんという気持ちになっていました」
★カンヌ映画祭「幻みたいな体験」
大変だった撮影を乗り切れたのは深田監督のおかげだったと言う。監督とはカンヌ映画祭にも参加した。
「幻みたいな体験でした。でもこれを最後に思い出じゃなく、またいつか戻ってこられるように頑張ろうという第1歩の目標と夢になりました」
★長澤まさみが好きで女優に興味
小学生のころ、長澤まさみが好きで女優に興味を持った。
「お芝居すごい、かわいいなとか。小学生なのでそんな感じですが、漠然と、絶対にテレビに出る人になりたいと思いました」
長澤と同じ事務所に所属することになり、舞台観劇の機会にあいさつをした。
「頑張ってねと声を掛けてくださったんですが、感動して心の中で泣いてました。いつか何かでご一緒したら、本当に宝物のような作品になると思います」
日向坂46時代に出演した舞台やドラマで、芝居の楽しさを知ったという。
「みんなで一丸となって、意見を交わしながら1つのものを丁寧に作っていく作業がすごく楽しかった。もっと勉強したいと思いました。何か次のものが見つかるまでは絶対卒業しないって決めていたんですが、主演ドラマをやった時に自分が進む道はこれかなと思ったんです」
仕事をしてみたいクリエーターもたくさんいる。
「藤井道人監督や今泉力哉監督、バカリズムさんはご一緒したいです。深田監督もそうですが、よりリアリティーな作り方をする方が気になります」
テレビ朝日系「キョコロヒー」(月曜深夜0時15分)などバラエティーでも存在感を示す。今後の活動に描く理想像を聞いた。
「こういう道をというのはなく、オリジナルの道を進みたいです」
女優業中心になり、食事や美容に一層気を使う。グルテンフリー、タンパク質やビタミン摂取を心がける。大好きなラーメンとは距離ができたのか。
「そんなことないです(笑い)。ラーメンは本当に大好きで、この世で一生1番確定なんです、最近も特番で6杯食べました。ラーメンの仕事はぜひオファー待ってます」
▼映画「恋愛裁判」の深田晃司監督(46)
齊藤京子さんがアイドルから俳優へと変わりつつあるタイミングでお仕事できたことはとてもぜいたくな体験でした。カメラを向けるたびに新しい齊藤さんが発見されていく撮影は日々楽しくて仕方がなかったです。またせりふとの向き合い方がとても真面目で安心して任せられました。劇中アイドルグループのハッピー☆ファンファーレのメンバーたちの距離を得意の人狼ゲームで一気に縮めてくれたのは、さすがの人徳でした。
◆齊藤京子(さいとう・きょうこ)
1997年(平9)9月5日、東京都生まれ。16年5月、けやき坂46(ひらがなけやき=現日向坂46)に一期生として加入。在籍中の23年10月期テレビ朝日系「泥濘(ぬかるみ)の食卓」でドラマ単独主演。24年4月にグループ卒業。26年は映画「教場 Requiem」(中江功監督、2月20日公開)などが控える。趣味は歌唱、ゲーム、かき氷屋めぐり。
