
磯村勇斗(33)とAぇ!Group末澤誠也(31)が、24年「ミッシング」で話題を呼んだ吉田恵輔監督(50)の新作映画「mentor」(メンター、26年秋公開)にダブル主演することが4日、分かった。
末澤は個人として初の映画主演で、磯村と初共演。15年前の夏の花火遊びで隣のアパートを全焼させ、黒焦げの妻を抱えて現れた男を目の当たりにした過去にとらわれたまま大人になり、対称的に生きる2人を演じる。撮影は同日、クランクインし12月中旬まで続く予定。
磯村は、罪にふたをしてアーチェリーのオリンピック日本代表候補として前へ進もうとする益子龍之介を演じる。「アーチェリーという役柄にも挑戦してみたかったので、今回のお話はまさに“やってみたい”が重なった奇跡のような出会いでした」と口にした。末澤は、いまだ罪の記憶から抜け出せず、陰鬱(いんうつ)な日々に立ちすくむ上谷拓海を演じる。「今まで演じたことのない役どころに向き合うのはプレッシャーもありますが、それ以上に喜びと覚悟の方が大きいです」と意気込んだ。
吉田監督は「ミッシング」や21年「空白」など、脚本から手がける原作のないオリジナル作品の製作を続け、定評がある。同監督は以前から、どんな難役も巧みに演じ切る磯村とのタッグを熱望してきたという。一方、末澤は連続ドラマに初主演した24年のMBS「彼女と彼氏の明るい未来」を見て「拓海のキャラクターにふさわしい」と抜てきした。同監督と初タッグの磯村は「監督の作品は以前から拝見していて、いつかご一緒したいと思っていました」と口にした。末澤も「個人としては初の映画出演で、しかも主演という形で参加できること、本当に光栄に思っています」と喜びをかみしめた。
大人になった2人の前に黒焦げの妻を抱えたやけどの男・埜本が再び現れ、物語は大きく展開する。埜本は恨みの言葉を口にすることなく、「君はもう、十分に償ったよ」と静かに語りかける。不気味なほどに優しく、やがて2人にとってのメンター(助言者・導き手)となっていく。メンターを演じる俳優は、今回は明らかにされない。磯村は「メンター役の方は、本当にとんでもない役者さんです。どう演じられるのか、想像をはるかに超えてくるだろうというワクワク感がありますし、現場でお会いできるのが楽しみでなりません。共演を通じて、たくさんの刺激を受けられるのではと期待しています」と称賛を繰り返した。末澤も「恐れ多いというか、ご一緒させていただくことがすごく光栄ですし、現場での空気感やお芝居から多くを学ばせていただきたいと思っています。ビジュアルや佇まい含めて、どういう形で現れるのか、すごく楽しみにしています」と口にするなど、大物俳優の起用をうかがわせた。
磯村は「吉田監督はとてもフランクでお話ししやすく、きっと現場も明るく進んでいくのではという予感があります」と始まったばかりの撮影に期待した。「どんな化学反応が起こるのか、まだ自分でも想像がつきませんが、だからこその“わからなさ”を楽しみに、現場で生まれる瞬間を大切に撮影に挑みたいと思います」と語った。
末澤は「磯村さんとも初共演ですが、とても話しやすく、ここから一緒に関係性を築けたらと思っています。日々の現場の中で吸収しながら、自分をアップデートし、全力で良い作品にしていけたらと思っています」と、磯村との関係構築に注力していく考えを示した。
吉田恵輔監督も、コメントを発表した。
「私は大切な人を亡くした事が何度かあり、その度にうまく泣いたりする事ができず、自分は冷めた人間なんじゃないかと落ち込んだりします。友人から哀しみ方は人それぞれ、比べるものじゃないと言われ救われた気持ちになりました。この物語も罪の意識、喪失感、人によっての捉え方の違いをテーマにしています。身に覚えのある痛い所をついていきながら、感動できる作品を目指します」
◆「mentor」 15年前の夏。少年の花火遊び…龍之介(磯村勇斗)と拓海(末澤誠也)の無邪気な火遊びが、隣のアパートを全焼させた。黒焦げの妻を抱えて現れた男・埜本。その光景を前に、2人の人生は止まった。やがて、罪にふたをし前へ進もうとする龍之介は、アーチェリーのオリンピック日本代表選考に残る強化選手として日々を過ごしていた。一方、過去に取り残されたままの拓海は、いまだ罪の記憶から抜け出せず、陰鬱(いんうつ)な日々を送っていた。対照的な二人の前に、あのやけどの男・埜本が再び現れる。ところが彼は、恨みどころか“慈愛”そのもの。優しすぎて、どこか怖いほどに。「君はもう、十分に償ったよ」。不気味なほど優しい埜本の言葉は、いつしか彼らにとってのメンターとなっていく。
