
俳優井上芳雄(46)が主演し、作家山崎豊子さん原作の「大地の子」が初舞台化されることが7月31日、分かった。26年2月26日~3月17日、東京・明治座での上演が決まった。第2次世界大戦後、中国に取り残された孤児の波瀾(はらん)万丈の半生を描いた壮大な物語。脚本をマキノノゾミさん、演出を栗山民也さんが手がける。
中国で家族と離ればなれになった少年勝男が、陸一心(ルーイーシン)として成長していく。井上は「原作本も繰り返し読み、ドラマも拝見していたので、『こんな大作の舞台化に関われるなんて!』と、夢のようで本当にびっくりしました」と、原作や30年前のドラマに触れながら驚きと喜びを表した。
山崎さんが、中国農村地区で、多くの戦争孤児に取材し小説を書いたことで知られる。井上は「過去の歴史を自分たちのこととして、現代のお客さまに伝えることができる作品なのでプレッシャーはありますが、栗山さんはじめスタッフ、キャストの皆さんと丁寧に作り上げていきたいと決意を固めています」と意義を語り「人間の可能性、思い、愛情の強さと奇跡を描いている。全力でお届けします!」と意気込む。
ほか出演者
▼奈緒(あつ子役) 舞台「恭しき娼婦」で栗山さんと出会い、目まぐるしく価値観が変化したあの日々を思い出します。生きていれば私たちは、いつか不条理と出会うでしょう。それでも皆と生きてみたい。「大地の子」では、どんな心や音を見つけられるのか、きっとまだ出会ったことのない景色を、カンパニーの皆さん、お客さまと見られる日を心から楽しみにしております。
▼上白石萌歌(江月梅役) 栗山民也さんとは20歳のころに「ゲルニカ」でご一緒した以来で、このように再びご縁をいただけたこと、心から幸せに思います。今回の「大地の子」という大きな旅ではどのような出会いが待ち受けているのか、今から楽しみでなりません。作品を通して伝えるべきことを考え、湧き上がる感情のひとつひとつをたしかに咀嚼(そしゃく)しながら臨みたいです。
▼山西惇(陸徳志役) 舞台「大地の子」で陸徳志を演じます、日本と中国の戦後40年を描いたこの壮大な物語が、戦後80年を経て舞台で上演される意義を強く感じています。綿密で膨大な取材活動を基に執筆された山崎豊子さんの原作を読み返して、誠に身が引き締まる思いでいます。敬愛する栗山民也さんの演出、素晴らしい共演者の皆さんを頼りに、この、愛の塊、の様な大きなお父さんに、少しでも近づけるよう、稽古に励みたいと思います。
▼益岡徹(松本耕次役) 95年、岡崎栄さん演出の日中合作ドラマを、心震わせ、見ていました。日中の役者の皆さんもすばらしく何度も涙したものです。その山崎豊子さんの大作「大地の子」を舞台でお客さまにご覧いただくことになりました。参加できることに、気持ちが引き締まる思いです。さらに、私が演じる松本耕次を、合作ドラマでは、師匠である仲代さんが演じておられました。あらためて気を引き締め、挑戦したいと思います。