
俳優杉良太郎(80)が9日、東京・文京区の郁文館高等学校で1年生の生徒約60人に講演会を行った。これまでも訪問したことがあり、この日はBSフジ特番「杉良太郎の人生感-明日を生きるヒント-」(8月3日午後9時)の収録も入る中で、芸能活動や66年間続ける福祉活動についてなどを熱弁した。
生徒には「みなさんはまだ若いですが、全員に絶対に約束されているのは、いずれ死ぬということ。永遠には生きられない。では、この短い人生をどう生きるか。幸せとは何か。力一杯に生きないと人生はもったいない」などと語りかけた。
質疑応答では福祉活動がうまくいかなかった時の心境などを問われ「悔しいと思わない性格に変わっている」と回答。「被災地などでもボランティアの方が『ありがとう』を要求してはダメ。被災した人は、昨日まで普通に生活していた人で、そうした人が1日経ったらホームレスになっている。そうした状況を理解できず、肉親も亡くなってどうしようとなっている人に求めてはだめなのです」などと説いた。
杉は警察署もこれまでのべ約150署を視察し、職員との意見交換などを行ってきた。昭和から平成、令和を生き抜き、「いつの時代が最も生きやすかったか」と問われた際は「全てが人間社会の生きざまでした」と口にした。「昭和の時代にはインターネットはなかった。情報がどこから入るかというと新聞やラジオ、テレビでした。そして父母の影響力も大きい。今はインターネットがありますが、ネット漬けの生活はやめた方がいいと思っています」とも言い「何事も簡単にも検索して答えを出そうとすると、本当に中身まで練られた人間になることは難しいかもしれない。それは昭和と今の時代、ずいぶん差はあると思います」と話した。
公演を終え、杉は「生徒は少し緊張していたね。もう少しリラックスしてざっくばらんにできればよかった」と振り返り「闇バイトに加担する若者がいたり、悪いことの報道も多いですが、真っすぐ自分の夢を求めていきたい子もいるんだということを紹介できればと思っています。こういった機会が増えて理解者も増やして、さらに輪を広げられたらいいですね」と力を込めた。
講演会冒頭、自身の話について「全て自分が経験したことを話す」と宣言して語りはじめた。真意について「その場所に行ったこともなく、経験したこともない中で何かを語るのは恐ろしいこと。だから、みなさんにもより多くのことを経験してほしい」と話した。年齢は80歳をこえたが、情熱は尽きない。「警察とかにも行くと『もう55歳で体が…』とかって相談されるんです。でも、55歳?って。俺はその歳に戻りたいよ。55歳でそう言っていたら俺はどうすればいいんだよ」と笑い「最近になって、年齢の個人差がものすごく出てきていると感じます。歳をとっている人でもまだ『改革だ』とかって言っている人もいる。そういえば今日、生徒の中に『政治家になります』って言ってきた子がいたね。いいと思うよ。しっかり勉強しなさいと伝えました」と優しくほほ笑んだ。