
オダギリジョー(49)が5日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた、主演と共同プロデューサーを務めた映画「夏の砂の上」(玉田真也監督)公開記念舞台あいさつに登壇。壇上で「本当の大災難は2025年7月にやってくる」などとつづられたことが話題を呼んでいる、1999年(平11)に刊行された漫画家たつき諒氏の「私が見た未来」(飛鳥新社)について言及した。
「私が見た未来」は刊行時、表紙に「大災害は2011年3月」と書かれていたことから、東日本大震災を予言したと注目された。そして21年に復刻された「-完全版」では、同氏が元ネタにした自身の夢をまとめた「夢日記」の内容を公開。その内容から、災難発生日が5日との臆測が飛び交い、芸能界でも話題を呼んでいる。
オダギリは「読後感に浸りたいだろうし…申し訳ない。そういう、読後感みたいな映画も、少なくなった」と口にしつつも「いや、違う」と自ら切り返し「昨日? 今日か。何も起きなかったですね」と客席に呼びかけた。
「私が見た未来」のタイトルこそ言及しなかったが「みなさん、良かったですね。この舞台あいさつ、中止になるんだろうなと思って…こんなもんですよね」と笑った。
「夏の砂の上」は、6月の第27回上海映画祭で審査員特別賞を受賞した。邦画の受賞は、2002年(平14)の「リリイ・シュシュのすべて」(岩井俊二監督)以来23年ぶり2度目となる。「夏の砂の上」は、劇作家・演出家の松田正隆氏の読売文学賞戯曲・シナリオ賞受賞作を、演劇ユニット「玉田企画」を率いる玉田監督が、脚本も手がけて映画化。オダギリは、5歳の息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まった小浦治を演じた。父の愛を知らずに育ち、治と共同生活する17歳のめい優子を髙石あかり(22)が演じた。
オダギリは受賞の感想を聞かれ「もちろん、うれしいですし…『ニュー・シネマパラダイス』を撮った、ジュゼッペさんが一推ししてくれたそうで光栄」と、審査委員長を務めたイタリアのジュゼッペ・トルナトーレ監督(69)からの評価を感謝した。「本当に賞を取れると思わなかった。にぎやかしで呼ばれていると思った、うれしかった」と笑った。
髙石は上海映画祭を振り返り「空気感がすごい。待っている時間が結構あって、いろいろな国の方々が、オダギリさんに写真、サインを求められ…世界に名を! と、勝手にうれしくなった」とオダギリの世界的な知名度を痛感させられたと振り返った。オダギリから「いろいろなところで、言って下さい」と言われると「ここだけ、ここだけ」と言い、笑った。
オダギリは舞台あいさつの最後に「『ババンババンバンバンパイア』も見て下さい!」と、唐突に公開日が同日だった吉沢亮(31)の主演映画「ババンババンバンバンパイア」(浜崎慎治監督)の名を挙げた。その上で「いろいろな映画あるけど、向こうも良いけどこちらも良い。土壌の広さが文化には必要。メジャーなエンタメの映画は海外には行けない。『日本の映画、おもしろいの少ないね』と言われると、寂しい気持ちになる。作家性、芸術的な作品を送れるような土壌の豊かさを持てれば良いと思う」と語った。
◆「夏の砂の上」雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏の長崎。小浦治(オダギリジョー)は、5歳の息子を亡くした喪失感から妻恵子(松たか子)と別居中で、働いていた造船所がつぶれても新しい職を探さず、ふらふらしていた。そんな治の前に、妹の阿佐子(満島ひかり)が娘の優子(髙石あかり)を連れて訪ねてくる。阿佐子は、1人で福岡の男の元へ行くためしばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治とめいの優子との同居生活が始まる。