
桜田ひより(22)が5日、東京・新宿バルト9で行われた主演映画「この夏の星を見る」(山元環監督)公開記念舞台あいさつに、原作者の辻村深月氏(45)がサプライズで駆けつけ、感激した。
「この夏の星を見る」は、直木賞作家の辻村氏による同名小説を、商業映画デビューの山元環監督、脚本の森野マッシュ氏が映画化。コロナ禍を背景に2020年に登校や部活動が次々と制限され、緊急事態宣言に直面し、大人以上に複雑な思いを抱える中高生たちの青春を描いた。
桜田が茨城県立砂浦第三高校の2年生・溪本亜紗、水沢林太郎(22)が飯塚凛久、自作の天体望遠鏡で制限時間内に星をどれだけ多く見つけられたかを競う「スターキャッチコンテスト」の開催を決意した亜紗が所属する、天文部の顧問・綿引邦弘を岡部たかし(53)が演じた。
桜田は「ビックリしました。以前、取材をさせていただいて先生の思いだったり、私たちの原作への思いを伝えさせていただいた。すごくうれしい」と、辻村氏の登場を喜んだ。
同氏からは「コロナ初年度のお話なので、映像化できないと思っていた。一番、大きな理由は俳優の皆さんにマスクを着けていただけなければいけないこと。でも、桜田さんたち、皆さんは目に輝き…目の中に星があった。マスクをしていても、どんな気持ちになっていたか、より伝わるこの形にしていただき、感謝しかない」と感謝の言葉も出た。
さらに、辻村氏から取材して書いた「スターキャッチコンテスト」の映像化についても「原作で書いた以上に、協議として格好いいものになっていた。涙を超えた格好良さに拍手を送りたい…敬服の気持ち」と絶賛の言葉があった。
桜田は「撮影で、原作に出てくる高校を使わせていただくことは、なかなかない。人のぬくもりが残った学校で、実際に使っているものを使わせていただいた。たくさんの人の協力があっての映画」と感謝した。
物語では、桜田演じる亜紗が「スターキャッチコンテスト」を開催する際、オンラインを駆使して茨城・土浦、東京、長崎・五島列島とつながった。24年に行われた撮影も、3地域ごとにパートに分けて行われた。桜田は「1年前、このメンバーで、それぞれ散って撮影していたので、ようやく1つになれた喜びが、とにかく最初にある。東京、茨城、五島と、2週間かけて撮っていた。皆さんの頑張りをスクリーンで見て本当に感動した。1日も早く、世に放って欲しいと思っていた」と感慨深げに語った。
◆「この夏の星を見る」2020年、コロナ禍で青春期を奪われた高校生たち。茨城・砂浦の溪本亜紗(桜田ひより)や飯塚凛久(水沢林太郎)は、失われた夏を取り戻すためスターキャッチコンテスト開催を決意する。東京では孤独な中学生・真宙が、同級生の天音に巻き込まれその大会に関わることに。長崎・五島では実家の観光業に苦悩する佐々野円華(中野有紗)が、新たな出会いを通じて空を見上げる。手作り望遠鏡で星を探す全国の学生たちが、オンライン上で画面越しにつながり、夜空に交差した彼らの思いは、奇跡の光景をキャッチする。