
<第34回日本映画プロフェッショナル大賞>◇31日◇東京・テアトル新宿
「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」が作品賞、井上淳一監督(59)が監督賞と2冠を獲得した。
同監督が声をかけ、プレゼンターを務めた主演の井浦新(50)、杉田雷麟(22)芋生悠(27)だけでなく、その他の俳優、スタッフ合わせて15人が檀上に駆け上り、主題歌「まだみぬ果ては」を含め音楽を担当した宮田岳(33)が同曲を生で弾き語りするなど、授賞式の檀上そのものを“ジャック”した。
「青春ジャック -」は、2012年(平24)に東京・新宿の路上で交通事故に遭い76歳で亡くなった、若松孝二監督の最後の助監督だった白石和彌監督(50)が手がけた「止められるか、俺たちを」の続編。「止められるか、俺たちを」は、若松監督が率いた60、70年代の若松プロの黎明(れいめい)期を舞台に、映画を武器に激動の時代を走り抜ける若者を、72年に早世した助監督・吉積めぐみさんの目を通して描いた。
「青春ジャック-」は、ビデオが普及し始めた80年代に、時代に逆行するように、名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げた若松監督と、支配人に抜てきされた木全純治氏と、同劇場に集った若者を描いた。井浦が両作で若松監督、木全支配人を東出昌大(37)杉田が若き日の井上監督、芋生が金本法子を演じた。
杉田は檀上で「現場で引っ張っていただき、監督を演じ、追体験させていただいた。撮影中、着けていた若松プロのハチマキをお渡しします」と、井上監督にハチマキを贈った。芋生も「現場では『何もしていない』とおっしゃいましたけど、リスペクトしていました」と感謝した。
井上監督は「1番、感謝したいのは若松孝二監督。亡くなって2本も映画を作らせてもらって、ここに立たせてもらった。フラフラ、やってこられたのが親ガチャに当たったからで」と客席にいる父親にも感謝した。