
JO1豆原一成(22)と市毛良枝(74)が、映画「富士山と、コーヒーと、しあわせの数式」(中西健二監督、10月24日公開)でダブル主演することが27日、分かった。市毛の映画への主演は、81年「青葉学園物語」以来44年ぶり。2人は劇中で突然、同居して同じ大学で学ぶことになった孫と祖母を演じる。
「富士山と-」は、100年前の1924年(大13)に文京学院の前身・島田裁縫伝習所を22歳で創立した教育者・島田依史子さんの自叙伝「信用はデパートで売っていない」が原案。「学ぶことは楽しい」という同作の概念を軸に、まなべゆきこ氏が「学び」の楽しさを知って視野を広げていくアクティブな祖母と、祖母に感化され道を見いだしていく、頼りなくて優しい孫を軸とした現代の物語を、オリジナルの脚本として作り上げた。
豆原演じる安藤拓磨は、市毛演じる祖父偉志を亡くした祖母文子を気遣い、同居を始めたはずが、偉志が残した大学の入学案内をきっかけに、同じ大学で学ぶことになる。夢を見つけることに悩む中「若いころの夢をかなえに来ました」と話す祖母に逆に元気づけられる。コーヒーにこだわりがある、ちょっと頼りなくて優しい大学生の孫だ。「自分の中ですごい挑戦で、いろいろなことを考えながら、そして悩みながら作り上げた作品になりました」と特別な作品になったと語った。
その上で「名だたる役者の皆さんや、素晴らしい監督と一緒にできたことが本当にうれしかったですし、自分にとってすごく成長できたと思います」と撮影を振り返った。何に悩んだか、と聞かれると「素晴らしい役者の皆さんと一緒にお芝居をする中で、どういうふうに自分の役を演じるのが良いのかすごく悩みました」と、共演者と向き合い、演じる中で自問自答したことを明かした。
市毛は「幸せってなに? 私は幸せなの? きっと誰もが考え、悩んだことがあるのではないでしょうか」と、主演するに当たっての思いを口にした。そして「当たり前の日常に幸せを感じていた文子さん。突然夫を亡くしうつろになってしまいます。でも夫の残したものから彼女は1歩踏み出し、新たな世界を見つけていきます。それは亡き夫の思いを探る旅でもありました」と役どころと作品について説明。その上で「我々世代がこれからを考える時、避けては通れない老後の生活。新しい体験をする文子さんに叱咤(しった)激励されつつ、暑い中での撮影を終えました」と撮影を振り返った。
拓磨と文子は、富士山が好きだった偉志が残した謎の数式を見つける。数式は、2人にとっての1歩を踏み出すきっかけとなる、さらなるサプライズとなる。タイトルにもついた富士山だが、24年6月中旬から約1カ月行われた撮影でも、5合目付近で、40歳から登山をライフワークにしている市毛と豆原の共演シーンを撮影している。市毛は「彼女(文子)の走り出した先に見えたのは、私も目指していきたい、信じ続けていきたい未来でした。挑戦を怖がらない。人はいくつになっても変われる。そして学びは楽しい」と、作品から受けた刺激を吐露した。
◆「富士山と、コーヒーと、しあわせの数式」 安藤拓磨(豆原一成)は祖母文子(市毛良枝)と暮らし始めた中、亡き祖父偉志の書斎で大学の入学案内を見つける。それは偉志が残した文子へのサプライズだった。1歩踏み出して拓磨と同じ大学に通い始め、若い頃の夢だった「学び」の日々を謳歌(おうか)する文子とは対称的に、拓磨は夢に自信が持てず将来に悩む。そんな2人は、富士山が好きだった偉志の手帳に不思議な数式を見つける。