
ツートライブが、17日に行われた「THE SECOND~漫才トーナメント~2025」で優勝した。結成16年以上のプロの漫才師たちによる賞レースで、3代目王者に輝いた。周平魂(41)は思わずバンザイし、たかのり(41)は涙を浮かべた。「やった! まじか? 優勝できるとは思わなかった」と叫ぶ周平魂に、たかのりが「うれしいな!」と抱きついた。ツートライブとは-。【西日本演芸担当=三宅敏】
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大阪の劇場でコツコツと努力を重ね、漫才で実績を積み上げてきた、その姿を記者は目撃してきた。だから、彼らが全国ネットの番組で脚光を浴びたことは、心からうれしく思う。
よしもと漫才劇場(マンゲキ=大阪・千日前)がツートライブのホームグラウンド。吉本の総本山、なんばグランド花月(NGK)とは目と鼻の先だ。マンゲキには多数の芸人が所属しているが、ツートライブはそのなかでも異色のキャラクターを持つ。
ずばり言えば「漫才職人」だ。周囲の芸人仲間にはアイドル的要素があったり、多くの人が認めるスター性を持つ芸人がいるが、失礼を承知でいえば、ツートライブにはその種の「輝き」は見られない。
その分、ストイックに漫才のネタを書き、それを磨き込んでいく粘り強さがある。マンゲキと森ノ宮漫才劇場を主戦場に、とにかく舞台に数多く立っている。
上方漫才協会大賞の文芸部門賞を4度も受賞した。同協会の会長でもある中田カウスは「ネタ作りの名人」とツートライブを高く評価している。漫才コンビとしての周平魂、たかのりを知る人は、ずいぶん以前からその実力を認めていた。
ただ、全国ツアーなどをのぞけば、関西以外でツートライブの知名度は低かった。メディアでの売れっ子ぶりでいえば、後輩のダブルヒガシ、カベポスター、天才ピアニストらに先を越された。その点、悔しさもあったはずだ。
しかし、THE SECONDでは、その知名度のなさが逆にプラスになったように思う。グランプリファイナルの会場は東京・フジテレビ。審査員はお笑いファン100人だったが、そのうち生でツートライブのネタを見たことのある人はどれだけいただろうか?
1回戦(対モンスターエンジン)で、ツートライブはグランプリファイナル史上最高の295点(300点満点)をたたきだした。審査員のなかには「ツートライブってこんなにおもしろいのか?」と衝撃を受けた人も多かったのではないか。
ひとたび「こいつらはおもしろい!」という印象を与えられたら、これは大きな武器になる。準決勝、決勝と勢いに乗って、本人たちさえ期待していなかった優勝をかっさらった。
実力がなければ、優勝した後が苦しくなるが、彼らはその心配もないはずだ。ここまで積み上げた漫才の力で、活動の幅を広げていくに違いない。M-1グランプリでは、準決勝まで進めなかったツートライブだが、THE SECONDというきっかけで、文字通り第2の芸人人生が始まった。
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◆ツートライブ
たかのり 1984年(昭59)4月11日生まれ、広島県尾道市出身。立ち位置は左。
周平魂(しゅうへいだましい)1983年(昭58)9月11日生まれ、京都府京都市出身。立ち位置は右。
08年にコンビ結成。