
シンガー・ソングライターの平井堅(53)が13日、横浜アリーナで「Ken Hirai 30th Anniversary Ken’s Bar -One Night Special!!-」を開催した。
平井の有観客ライブは約5年ぶり。真っ暗な会場でスポットライトに照らされ登場した。冒頭のアカペラ歌唱で集まった1万2000人を一気に引き込み、「even if」を披露。大きな拍手に包まれながら「Ken’s Barへようこそ!」と呼びかけ、久々の有観客による「Ken’s Bar」が“開店”した。
「Ken’s Bar」は平井が自身のライフワークと位置づけるコンセプトライブで、98年に始まった。通常のコンサートとは異なり、アコースティック編成で、オリジナル曲に加えてカバーなども披露される。会場をバーに見立て、アルコールやソフトドリンクを飲みながら音楽を聞く特別な空間を演出している。
前半から「告白」「瞳をとじて」など数々の人気曲を惜しみなく披露。「千と千尋の神隠し」の「いつも何度でも」も歌唱した。休憩を挟み、中盤の「POP STAR」では客席付近の通路に登場。ファンに接近しながら手を振り、会場には悲鳴のような大歓声が響きわたった。「Love Love Love」ではカラフルな紙吹雪が舞い、観客も総立ちで手拍子を届けた。
この日はデビュー30周年の記念日。MCでは客席から「大好きー!」「おかえり!」などの歓声が飛ぶ中、「今日で歌手30歳ということで、本当にね、感謝をしてもし尽くせません。本当にどうもありがとう」としみじみ。「歌手として30歳、人間としては53歳。大人も大人、初老に片足突っ込んでる」と笑いを誘った。
「53歳になりましても全然大人になれない。小さい頃と心が全く変わっていなくて、情けない話ですが、いまだに誰かに褒められたくて、褒められないと不安で。『よく頑張ったね』って頭をなでてもらいたいところがある」と苦笑いしつつ語った。
「せっかくこんなに大切な皆さんが、大切な時間を僕に使って集まってくださった。僕がいつも言ってほしい言葉を皆さんに言いたいと思います」とし、一息置いて「皆さん、よくここまで頑張って生きてきた。みんな本当に偉い!」と伝えた。「皆さんはそのままが一番ベスト、すてきだと思います。そのままでいてください」と優しく語りかけ、大きな拍手に包まれた。
アンコールでは、花束を片手に名曲「ノンフィクション」を熱唱。最後はステージ上を走りながら左右に移動し、手を振りながら全てのファンに感謝の思いを伝えた。
同公演はライブ・ビューイングも行われ、1万2000人を動員。多くのファンとともに、30周年イヤーの幕開けを華々しく飾った。【玉利朱音】