
シャンソン歌手、鬼無里まり(69)が4日、東京・渋谷のJZ Bratで、初のワンマンライブ「ChansoniX~Un 1」を開催した。
鬼無里は、元俳優でフラワーアーティストとして活躍する志穂美悦子のもう1つの顔。長渕剛(68)の妻でもある。
昨年6月にシャンソン歌手としての活動をスタート。これまでゲスト出演などで歌唱し、経験を積んできた。本格的なソロライブはこの日が初めてで、会場は満員となった。
「水に流して」「愛の讃歌」「なぜ私に愛を語らない」「遠い道」「生きる時代」など23曲を、情感たっぷりに歌い上げた。
特にナチスドイツ占領下のフランスで処刑されたパルチザンを歌った「赤いポスター」は、歌唱力だけでなく、俳優時代に培った視線の動きや身ぶりの表現力でも観客を魅了した。昨年11月末の「日本シャンソンコンクール2024」に同曲で初出場し、準グランプリにあたる優秀賞を受賞していた。
「鬼無里」は長野県に実在する地名で、かつて訪れた際に「鬼のいない里」という響きに魅了されて芸名にした。
「(今回の選曲は)伝えたいことを全部入れました。芸名に『鬼無里(きなさ)』とつけたように、愛と平和と自由のためにも歌っていきたい」と、シャンソン歌手としての使命を口にした。
もともとシャンソン愛好家で、20代前半から東京・銀座にあったシャンソンの殿堂「銀巴里」に通うほどだった。
シャンソン歌手を目指した理由は「夫(長渕)が歌を歌っている人だから、長い間影響を受けてきました。日本人の歌を歌えば、それはカバーになる。シャンソンも作った人がいて、カバーではあるんですが、歌詞を自分に置き換えて歌える。シャンソンは何歳からでも歌える。時代を乗り越えてきたからこそ歌える。(シャンソンは)新たな私の人生です」と話した。
日本初のアクション女優として、毎日毎日練習に励んだように、「レッスンを『週9日』やっています。計算が合わないぐらいにシャンソン漬けです」と語ったこともあった。
長渕には歌手としての相談などはしていないが、「遠くから見守ってくれています」。将来の共演については「お互いに嫌だと思います」と笑った。
6月11日には、能登半島沖地震で被害を受けた富山・氷見市で、自ら生けた花とシャンソンによる復興支援「Bonjour~愛してくれるなら~」を氷見市芸術文化館で開催。今後も能登復興支援活動を続けていくという。
7月7日には東京・文京シビックホールで開催される「第63回パリ祭」にゲスト出演する。
「趣味の延長ではなく、覚悟をもってやっていきたい」と誓っていた。【笹森文彦】