
<情報最前線:エンタメ>
テレビ朝日系「仮面ライダーガヴ」に出演中の庄司浩平(25)が、2月の日本映画テレビプロデューサー協会主催「2025年エランドール賞」でアクターズセミナー賞を受賞した。188センチの長身と端正なマスクの側面に、多才な一面を持つ。気鋭の新星の素顔に迫った。【鎌田良美】
■ワークショップ参加
2月6日、エランドール賞授賞式にひときわ目を引く長身の青年が立った。昨秋の新人俳優対象セミナーで、優秀な成績を収めて表彰された。「仮面ライダーガヴの撮影には入っていたので、スケジュールを縫いながらだったんですけど。まだまだ勉強が必要だと感じて」と参加を決めた。
ワークショップにオーディション。監督やプロデューサー陣に意見をもらえるぜいたくな時間だった。「僕としてはもう元取ったと。お釣りがくるぐらいのものをいただいた」。それが賞として形を成したことで、新たな感情が芽生えた。
「あの場にいた河合(優実)さん、高橋(文哉)さん。趣里さんもそう。最前線でやってらっしゃる方の姿が刺激になった。今度は自分が新人賞を取ろう。1つマイルストーンを設定できた瞬間になりました」
新人賞を受賞した、旬な俳優たちのスピーチをそっと心にしまった。
芸能の仕事をするなんて、考えてもいなかった。19歳でスカウトされた。
「みんなが経験できることじゃないじゃないですか。就職サイトを開いて『役者』があるかっていうと、そうじゃないし」
■日常の英会話OK
寄り道、くらいのつもりで飛び込んだ。
当時は大学生。「サラリーマンになるだろうという確証が90%以上だったんですよ」と人生設計を振り返る。就職するなら、おもしろい経歴がほしい。そう考えて1年生の夏、秘書検定2級を取った。授業も試験場も周りは女性ばかり。“黒一点”ぶりを「スイミーみたいでした」とレオ・レオニの絵本に例えた。結果的にここで、社会人としてのルールを学べた。
バスケが好きで、米国に留学したかった。
「NBAのマイアミにあるチームが好きで。フロリダ州の大学に交換留学に行こうと考えてたんです」
準備として英語習得に励んだ。「魔進戦隊キラメイジャー」のオーディションに合格し、コロナ禍も重なったことで留学は断念。だが日常会話に問題ない程度の英語力を身に付けた。
ステイホーム期間に入ると、今度は上級食育アドバイザーの資格を取得した。「ご飯食べるのも作るのも好きなんで」。季節の食事、栄養バランスに詳しくなった。有資格者は食育のプロとして講演ができる。「やることはないと思いますけど」と笑った。
ちなみに料理がうまいのも、学生時代に培った。
「実家に近いスーパーが3つあって。生鮮に強い、野菜に強い、冷凍食品が多いとか、得意分野がある。チラシ全部頭に入れて、部活帰りに寄ってましたね」
大学生の時は両親から、昼食を1日500円でやりくりするよう言われた。「400円にすれば100円返ってくる。いかに安く済ますか。これは自炊だなって」。考えて実行に移す力が、とにかく高い。
■年間100冊の読書
図書館が好きだ。多いと年間100冊の本を読む。「本に囲まれる感じ。においがこもっているところ。書店とは少し違うんですよね」。幼少期、サンタさんのプレゼントは絵本か小説だった。「視点が変わると本の受け取り方も変わる。今の価値観で見る物事におもしろさを感じます」。作家は問わない。ジャンルも問わない。電子版より紙がいい。装丁が気になる本を手に取って、スマホアプリで読書記録を付けていく。
筆も執る。インターネット上で短編小説を公開している。
「アイデアをばーっと書いて、混ぜてつくる。今は1万2000字から1万5000字で書いてるんですけど、簡潔に書くと5000字で終われちゃうし、膨らますと2万ぐらいいっちゃう。文芸のルールもありますし『書く』って難しいんだなと痛感してます」
昨夏は読売新聞にパリ五輪バスケについて寄稿した。「書く」が仕事につながった好例だ。もし、本を出せるなら-。
「役者が書いた本だなって思われないのが多分、幸せ。又吉さん、尾崎世界観さん、加藤シゲアキさん、芸人のニシダさんとかいろんな方が書いてて、どれもすごい。今は趣味ですけど、文字を書く仕事も、役者業と両立してできたらとてもハッピーです」
俳優として25年の目標にスクリーンデビューを掲げる。
「アメコミが好きなので、マーベルの『アイアンマン』とか好きです。でも、ありがたいことにヒーロー作品を2つやらせてもらってるので。リアル路線だったり、20代半ばだからこそできる作品に出演できたらうれしいなと思います」
22日には自身初のカレンダー発売が控える。「今年に入ってから撮りました。フレッシュな状態の僕です。ハンバーガーを食べているシーンは素です」と笑う。20日に東京・渋谷で行う記念イベントは即日完売するなど、注目度は着実に上がっている。
「役者のいいところは何にでもなれること。今はいい意味でまだ色がついてないと思います。どんな色に染まるのか僕自身も楽しみですし、それがカラフルだとうれしい」
■NHK俳句2年目
「NHK俳句」のレギュラーも2年目。五七五調で抱負を頼むと、熟考の末にペンを走らせた。
「まだ序章 比較出来ない 足跡や」
引き出しの多さは色とりどりの「役」につながり、唯一無二の足跡を刻んでいくのだろう。
◆庄司浩平(しょうじ・こうへい)1999年(平11)10月28日生まれ、東京都出身。20年5月、テレビ朝日系「魔進戦隊キラメイジャー」でデビュー。23年「NHK高校講座 数学A」レギュラー。BS12「Bリーグ中継」でコメンタリーゲストも務めた。24年4月、テレビ朝日系「君とゆきて咲く~新選組青春録~」斎藤一役。25年1月から同局系「仮面ライダーガヴ」で仮面ライダーヴラム/ラキア・アマルガ役。「NHK俳句」は24年からレギュラー。趣味はバスケットボール、料理、昭和歌謡(山口百恵など)を聞くこと。身長188センチ。血液型A。