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三谷幸喜に見い出された遅咲きのバイプレーヤー2人、浅野和之と坂東彌十郎が文部科学大臣賞受賞


令和6年度の芸術選奨文部科学大臣賞を浅野和之(71)と坂東彌十郎(68)が受賞しました。浅野は舞台「リア王」のグロスター伯役、彌十郎は「髪結新三」の家主長兵衛役で評価を受けました。どちらも主役ではないながら、長年にわたり舞台を支えてきた姿勢が表彰されました。 浅野は過去にバイトをしながら舞台活動を続けており、2002年に三谷幸喜の舞台で一躍注目されるようになりました。以後、三谷作品の常連となり、紀伊國屋演劇賞も受賞しています。一方、彌十郎はその大柄な体格から役に恵まれず苦労していましたが、近年はその体格を武器に数々の舞台で存在感を示しています。彼の大賞受賞は今回が初めてで、その実力がようやく認められました。これらの受賞は三谷との縁に支えられた遅咲きの成功といえるでしょう。

浅野和之(2022年4月撮影)

令和6年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者がこのほど発表され、演劇部門の文部科学大臣賞は浅野和之(71)と歌舞伎俳優の坂東彌十郎(68)でした。受賞対象となったのは、浅野が「リア王」のグロスター伯、彌十郎は「髪結新三」の家主長兵衛などでしたが、どちらも主役ではありません。長い間、バイプレーヤーとして数々の舞台を支えてきた2人が受賞したことは感慨深いものがあります。

野田秀樹が率いた劇団「夢の遊眠社」にも在籍した浅野は長い下積み時代を経験しています。40代初めまではバイトとの掛け持ちでした。そんな浅野が一躍注目されたのは、2002年の三谷幸喜作・演出の舞台「You Are The Top~今宵の君」でした。鹿賀丈史と市村正親が共演する予定でしたが、鹿賀が急病で降板。その代役に三谷が指名したのが浅野でした。その経緯を三谷は「タレント名鑑で代役ができそうな俳優を『あ』から探して、『あさの』に電話した」とエッセーで紹介しているけれど、浅野は1993年に三谷が脚本を書いたドラマ「振り返れば奴がいる」にも出演しており、浅野の演技者としての実力を認めていたと思います。02年以降、三谷作品の常連となり、05年には「12人の優しい日本人」の演技で紀伊國屋演劇賞を受賞しています。

彌十郎も若いころは役に恵まれませんでした。その理由は183センチという長身のためでした。17歳で初舞台を踏みましたが、大柄ゆえに共演者とのバランスがとれず、なかなかいい役につけませんでした。その後は3代目市川猿之助の公演に出るようになり、猿之助が演出したオペラでは演出助手を務めました。最近は長身の若手が活躍するようになったため、彌十郎の大柄な体格が逆に武器となり、存在感も増しています。意外なことに、大きな賞の受賞は今回が初めてで、実力のある人はいつか報われるということを実証した形です。

ちなみに彌十郎は三谷脚本のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で時政役を好演し、ドラマ、映画で多方面に活躍しています。今回の受賞者は、三谷に見い出された遅咲きの2人と言えるでしょう。【林尚之】

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