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<D.LEAGUE 24-25 ROUND.9>◇2月27日◇東京・東京ガーデンシアター
CyberAgent Legit、KADOKAWA DREAMSが快勝して1、2位をキープ。dip BATTLESが5戦ぶりに白星、今季は「ジャンルの百貨店」の異名をとるMedical Conciege I’moonが今回はワックに初挑戦でスイープを奪取!! 両チームとも一時苦戦したが、再びチャンピオンシップ進出争いのど真ん中に突っ込んできた。
ラウンド後の勝利チームの代表者が集まるインタビュールームには4人だけが姿を見せた。Dリーグはマッチ直後のステージ上も、ラウンド後も、ダンサーがコメントするのは勝利チームだけ。この日は3マッチがドローだったため、寂しい公式会見だったが、率直な感想や舞台裏などを聞いてみたくなるほど、いずれも名勝負だった。
KOSE 8ROCKS対LIFULL ALT-RHYTHMは、8ROCKSが先行で「SPINNER」をテーマにクルクルクルクル! これに対して、アルトリは1分間に142回転するヘッドスピン世界記録保持者・大野愛地と開幕直前に加入したブレイキン界のスター・AYUが加わって、真っ向からスピン勝負。エースを任されたcalinもキレキレで、いいもの見せてもらったなあ!
DYM MESSENGERS対Valuence INFINITIESはドレスアップしたMESSENGERSが「ドレスルーム」をテーマに七変化。ストリートダンスだけじゃなく、ストーリー性のあるショーケースだって魅せるのよ! とばかりに舞い踊れば、INFINITIESはハイレベルなテクニックを惜しげなく積み重ねて今季の充実ぶりを見せつけた。うーん、どっちが勝っても納得だし、どっちかが負けたら納得できない?
Benefit one MONOLIZ対FULLCAST RAISERZも13位対14位とは思えない大熱戦。
ピンヒールではなく裸足になったMONOLIZが取り組んだのはジャズ。妖しさを抑えて、滑らかにサウンドに乗り続ける新境地を披露した。一方のRAISERZは昨季限りで退団したTINY INFINITYがSPダンサーとして登場。得意の顔芸でコメディー路線かと思いきや、強くて一糸乱れぬチームワークで男の色気をまき散らした。
なんで、この2チームがまだ1勝ずつ??? そう思っているうちに、ジャッジの時間。
オーディエンス、テクニック、コレオグラフィと立て続けにRAISERZが奪うと、ステージング、シンクロ、エースでMONOLIZに続けて、軍配が上がる。
勝ったと思った、RAISERZ・KTRが苦笑する。そして、両チームとも笑顔でステージを去った。
昨季のROUND.5で6戦中4戦がドローという珍事が起きた。オーディエンス1票、ジャッジ5人で5票の合計6票だから、3対3が生まれる。
ステージ上のケリー隆介が「ドローが多く、みなさんもやもやがあるかもしれませんが…」と口にする場面がしばしばあった。
白黒はっきりさせるためにも、奇数票にすべきじゃないか?
そんな論争がファンの間でも巻き起こったが、今季は「ドローも仕方ないか」「ジャッジが泣かせな一戦だった」と、勝敗がつかないほどの熱戦を繰り広げた両チームをたたえる声が増えたように思う。
昨季のROUND.5後、Dリーグ最高執行責任者の神田勘太朗氏に、ドローについて聞いたことがある。
カンタロー氏 ドローがあることで生まれるドラマもそうですし、まさに甲乙つけ難い場合においては、ドローで気持ちが救われることもあります。(中略)競い合いではなく、ショーケースを見せ合うだけではDリーグは存在価値がありません。音楽のランキングと似てませんか? ジャンルもバラバラ、年齢もバラバラ、レーベルのスタイルも世界中でこれほどまでに分かれていながらも、ランキング化されており、それはみんな自然と受け入れてます。ダンスはまだそこまで行けてませんが、確実に未来においては音楽と同様の広がりを見せてくれると考えています。そこに到達する過程において、作り手やファン全否定にはならず、心に1つの落としどころを作る「ドロー」がもたらす意味が重要だと考えています。
今季から6項目の評価で勝敗を決めるスタイルに変わったが、やはり、ドローの可能性を残した意味が見えてくる。
その場で勝敗を決するスリルもDリーグの魅力だが、両者をたたえる寛容さに、後味の良さを感じる。【久我悟】
※左が先攻
【1st MATCH】 CyberAgent Legit 5-1 SEGA SAMMY LUX
Legit・ATO(5連勝で首位キープ)「本当に楽しかったです。毎回、試行錯誤しながら、大変なんですけど、変わらず1勝、1勝積み重ねて、CS優勝目指して、楽しく日々切磋琢磨していきます」
【2ed MATCH】 List::X 1-5 KADOKAWA DREAMS
DREAMS・HINATA.M(6勝目で2位キープ)「MINAMIさんがディレクションしてくれた作品で、スイープをお届けしたかったんですけど。というのも僕はDリーグにくるまで、見向きもされなかったんですが、素晴らしい仲間たちとここまでくることができました。人の心を動かすのが仕事ですから、ダンサーの誇りを持って戦い続けたいです」
【3ed MATCH】 KOSE 8ROCKS 3-3 LIFULL ALT-RHYTHM
【4th MATCH】 DYM MESSENGERS 3-3 Valuence INFINITIES
【5th MATCH】 dip BATTLES 4-2 SEPTENI RAPTURES
BATTLES・SHO(エースポイントはとれなかったが5戦ぶり勝利に)「もうチームとしては後がない状況と思っていて、それにハウスでは勝てていなくて、評価されるのか、ゼロから意見を出し合って、心を込めてつくった大好きな作品になりました。エースととれなくて悔しいけど、そんなことがどうでもよくて、勝ててうれしいです」
【6th MATCH】 Benefit one MONOLIZ 3-3 FULLCAST RAISERZ
【7th MATCH】 Medical Conciege I‘moon 6-0 avex ROYALBRATS
I`moon・MIU(エースを任され今季2度目のスイープ、MVDも獲得して)「ここまで初めてで、みんなが仕上げてくれて満足です。引き続きI`moonは新しい挑戦を続けます」
【RANKING】チーム名の右はチャンピオンシップポイントと勝敗(◎はスイープ勝利)
<1>CyberAgent Legit 23点 ○○●△○◎○○○
<2>KADOKAWA DREAMS 21点 ●△○◎◎○○●○
<3>Valuence INFINITIES 19点 ◎○●△○○△○△
<4>SEPTENI RAPTURES 17点 ●△◎△○◎△○●
<5>KOSE 8ROCKS 15点 ○●△○○●△○△
<6>Medical Conciege I‘moon 15点 ●◎○●●●△○◎
<7>dip BATTLES 14点 ○○△○●●△●○
<8>LIFULL ALT-RHYTHM 14点 ○●●●○○◎●△
<9>DYM MESSENGERS 12点 △●△○○●●○△
<10>avex ROYALBRATS 12点 △●◎●●○△○●
<11>List::X 9点 ●○○●●○●●●
<12>SEGA SAMMY LUX 7点 ●○●△●●○●●
<13>Benefit one MONOLIZ 5点 ○●△●●●●●△
<14>FULLCAST RAISERZ 4点 ●●●○●●●●△