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演歌歌手五木ひろし(76)と坂本冬美(57)が25日、東京・立川ステージガーデンで、五木のデビュー60周年を記念したジョイントコンサート「ベストカップル」の東京公演を行った。2人によるコンサートツアーは初めて。
終演後に2人は取材に応じた。一問一答は以下の通り。
◇ ◇ ◇
-コンサートを終えた感想は
五木 何よりも良い気分でできました。今日は久しぶりの立川でした。(これまで)どこにいってもお客さんがいっぱいで、ずっと2回公演だった。
坂本 同じです。行く先々で温かい拍手をいただいています。
-ジョイントコンサートのきっかけは
五木 冬美さんとは舞台は何度かやっています。60周年の企画としてジョイントをやろうと思った。『とにかく、僕に任せてくれ』と。それに付いてきてくれれば良い。構成・演出も自分でやる。しょっちゅう変わっています。同じことをずっとやるのが好きじゃないから。
坂本 刺激があります。慣れると油断するが、いい緊張感があります。
-60年を振り返って
五木 僕のような歌手はいないと思う。一番の底辺を経験した。だからこそトップを目指そうと頑張ってきた60年でした。最初の数年の売れなかった時代がなかったら今の僕はない。言葉ではなかなか言えないが、本当に大変だった。歌が好きだからトップを目指そうと。まもなく喜寿を迎えます。『もうここまで来たのか』という思いと『もう少し頑張れる』との思い。孫が(自分のことを)分かるまでもう少し頑張ろうと思う。
-60年で印象に残っていることは
五木 苦しい時でも歌をやめられなかったのは、何とかおふくろ孝行をしたかったから。それが支えでもあり、バネでもあった。『五木ひろし』として成功してから(福井から東京に)呼び寄せた。少しは親孝行ができたかな。あらためておふくろの顔を思い出します。
-坂本さん、五木先輩はどんな人ですか
坂本 後輩に手を差し伸べてくれる。昔のヒット曲を大事にして後輩にもチャンスを与えてくれる。先輩の切り開いてくれた道を後輩が歩いている。ずっと先にいてくださって、道しるべです。歌に真摯(しんし)に向きあうところが大尊敬です。
五木 僕も大先輩が良い歌を歌ってきたから、それを歌っている。僕は一生懸命に前を見て歩いてきたが、後輩にはつなげていきたい。歌謡史を後輩たちが受け継いでくれることが、これからの大きな仕事になっていくと思う。
-何十年もステージに立つ秘訣(ひけつ)は
五木 ペースを変えないこと。休むのが嫌いで2日休むと具合が悪くなる。最近、女房との合言葉は「ありがたい」と「おかげさま」。若い時は思わなかったけど、「(番組などに)出て欲しい」とか「やりましよう」と言ってもらえることに感謝です。自分には歌しかない。自分の人生は歌が全て。歌うことが大好きなんです。