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昨年6月に卵巣がんが判明して卵巣などの切除手術を行い、歌手活動を休止していた演歌歌手市川由紀乃(49)が20日、都内で、活動再開を報告する記者会見を行った。
「開腹手術をしたので、最初は声を出すのが怖かったけどもう大丈夫。今の気持ちは『うれしい』です。『うれしい』という言葉はこういう時に出るんだなと分かりました」。闘病中はファンからの手紙などが心の支えになった。「『待っているよ』とお手紙をくれたり、千羽鶴をいただいたり。ファンの皆さんに感謝です。うつむきがちになる自分の心を前に向かせてくれた。人の心のありがたさをこの期間に一層感じました」。
3月4日に生放送するNHK「うたコン」(午後7時半)出演で仕事復帰をする。昨年6月の新潟公演以来、約9カ月ぶりとなる人前での歌唱で美空ひばりの「人生一路」を歌う。「生放送なのでいろんな思いが込み上げると思いますが、精いっぱい務めたいです。母(80)がひばりさんのことが大好きで、この曲をよく歌っていました。わが家の応援歌でもあり、2回目の紅白歌合戦(17年)で歌った曲。歌詞に自分と重なるフレーズがたくさんあるし、覚悟を持って歌いたいです」。
そして、5月20日には復帰シングル「朧(おぼろ)」をリリースする。昨年3月発売の「ノクターン」以来、約1年2カ月ぶりの新曲だ。「明日(21日)がレコーディングです。今の市川由紀乃をお届けしたい。魂を込めて歌って皆さんに届けたいです」。
復帰コンサート「ただいま」は5月19日に故郷の埼玉・サンシティ越谷市民ホールでスタート。5月の大阪、6月の名古屋と3都市で計4公演を行う。「うれし涙で顔がぐしゃぐしゃになると思いますが、歌えないことのないように頑張ります」。
93年8月に「おんなの祭り」でデビューして31年目。「定期的な検査は受けますが、治療はいったん終わって転移もありません。人生は1度だから、これからはもっとチャレンジをして攻めていきます」。大きな逆境を乗り越えた市川が一層の飛躍を誓った。