
「日本語曲を日本語で歌う日本人」として韓国の音楽番組でブレーク中の歌心りえ(51)が5日、東京・世田谷区の北沢タウンホールでライブを行った。下北沢で家族経営をするライブハウス「空飛ぶこぶたや」の10周年記念のメモリアル公演として実施した。
大きな温かい拍手に迎えられたステージは、中島美嘉の「雪の華」の歌唱でスタート。公式YouTubeで947万超回再生の“代名詞”的な曲。静まり返った会場に歌心の歌声だけが響き渡った。
あいさつは日本語と韓国語の両方で行った。「みなさんこんばんは。ここまでようやくこれました」。
2曲目は姉とのユニット、Ciaoとして98年に発売した「それが恋かもしれない」。ダンスも交えながら、20代に歌唱したポップス曲を軽やかに気持ちよさそうに歌った。
その後はマイナーとしてリリースした、Rie名義のソロ曲を続けた。「私がこんなに大きなステージに立てるとは思っていなくて感無量です」。韓国曲の日本語カバー「スミレ」では爆発的な歌唱を封印し、印象的なロートーンでささやくように歌唱。五輪真弓の「恋人よ」、本田美奈子.の「つばさ」などの名曲はしっかりと“歌心バージョン”の味付けをして客席に届けた。
韓国とのつながりも明かした。「04年に『冬のソナタ』挿入歌の(日本語)カバーソングをリリースしたのをきっかけにドラマもはまりました。歌も歌った。でも当時は韓国に行っていない。それが昨年になって、ついに20年越しに行けたんです」。
今から5年目。1人娘が5歳の時に、風呂上がりの歌心のしわくちゃの指を見て「ママ、おばあちゃんになっちゃったの?」と心配そうにたずねてきたことをモチーフにした「5歳のツイート」も披露した。
終盤になるとカバーアルバムの発売を発表。「何とビクターさんとエイベックスさんと同時に2枚リリースです。こんなことがあるのでしょうか。レコード会社の垣根を越えました。私は昨年に国の垣根を越えて韓国に渡りました」。このアルバムで歌心は51歳という遅咲きでソロメジャーデビューを遂げる。
本編の最後には涙で声を詰まらせながら話した。「皆さんに支えられてここまで…。本当にありがとうございます。今年がデビュー30年。いろんな(バンド)編成になり、二転三転をして、5回目の『歌心りえ』でメジャーデビューです。人生は何があるか分からない。今は歌を手放さなくて良かったとかみしめながらここに立っています。これからも無理をせずに頑張ります」。
「歌心りえ」という芸名には「歌は心、心を伝える歌を歌っていく」との思いを込めた。その名の取り、歌声と心をしっかりと伝えた約2時間のステージだった。