米ロサンゼルスを襲った大規模な山火事は発生から1週間が経過した14日も延焼を続け、鎮火の目途は立っていない中、一部の富裕層が自分たちの邸宅を守るために民間のプロ消防隊に大金を投じているとして非難を浴びている。ニューヨーク・ポスト紙によると、民間の消防会社は独自の給水装置やトラック、ホース、消火剤、その他必要な工業用機器を備えて現場に駆けつける「オンコール」サービスを提供しているという。
サービス料として1時間2000ドル(約31万6000円)を請求する業者もあるが、ハリウッドの富裕層からの依頼電話が鳴りやまない状況で、中には「いくらでも払うから家を守って欲しい」と業者探しに翻弄(ほんろう)される人たちもいるという。
依頼主の家を守るため、現場で一晩中待機して火災の再発を警戒しながら、住宅の屋根に放水を続けるなどの活動を行う場面も現地で目撃されている。また、防火剤を散布したり、木や茂みを厚い耐火素材で覆うなどのサービスも行うという。
ABCニュースが、5300棟を超える建物が焼失して廃虚と化した西部の高級住宅地パシフィックパリセーズでがれきの中にほぼ無傷でそびえたつ屋外ショッピングモールの様子を報じ、焼失を免れるために所有者の不動産開発業者で、共和党の元ロサンゼルス市長候補だったリック・カルーソ氏が民間消防会社を雇ったと伝えた。
道を挟んだ向かいの建物は完全に焼け落ちているものの、ショッピングモールはきれいな外観を保ったままだった。報道によると、大量の水を搭載した給水車数台が出動して放水を続けていたという。
カルーソ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙の取材で「周辺はすべて消えてしまいました。戦場のよう」と語っていた。ABCニュースの取材には応じなかったという同氏は12日、X(旧ツイッター)でロサンゼルス消防署基金に500万ドル(約7億9000万円)を寄付すると表明した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)