ウクライナのゼレンスキー大統領が12日、大規模な山火事に見舞われている米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊の消火活動に自国の消防士を派遣する可能性を示唆した。山火事を巡り、トランプ次期米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻を開始した後にロサンゼルス郡消防局が余剰物資をウクライナに寄付したというニュース報道のスクリーンショットをSNSに投稿し、延焼拡大の要因は大量の物資を寄付したことだと言わんばかりに郡消防局を非難したばかりだった。
ゼレンスキー大統領は「カリフォルニアの山火事の消火活動にわが国の救助隊が参加する可能性」に備えるよう内相に指示したと明かし、150人の消防士の派遣準備ができていると述べた。大統領はX(旧ツイッター)で、「現地の状況は極めて厳しい。ウクライナ人は米国人の命を守る手助けができる」と記している。
トランプ・ジュニア氏は、Xでロサンゼルス郡消防局がウクライナにホースやヘルメット、防弾チョッキなど個人用防護具を寄付したことが、ロサンゼルスを襲い、現在も5カ所で延焼を続ける山火事の一因となっている可能性を示唆する投稿をしていた。
トランプ氏もカリフォルニア州のニューサム知事が「環境保護のために消火水の供給を制限した」と発言。知事側は「主張は誤りだ」と反論する騒動に発展している。SNSでも山火事を巡る陰謀論が拡散されており、「火災は一部勢力によって仕組まれたものだ」とする投稿に実業家イーロン・マスク氏が同調したことも物議を醸している。
バイデン政権はウクライナに650億ドル以上の軍事援助を提供してきたが、トランプ氏は就任後24時間以内に紛争を解決すると明言している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)