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藤竜也がTAMA映画賞で最優秀男優賞「生き返りました」認知症の父を好演「魂持ってかれた」


83歳の俳優藤竜也が、「第16回TAMA映画賞」において最優秀男優賞を受賞。受賞作品『大いなる不在』で認知症の父親役を演じ、観客に深い印象を与えた。同作品はスペイン第71回サンセバスチャン映画祭にて日本人初の最優秀俳優賞(シルバーシェル賞)を受賞し、また米ニューヨークのジャパン・カッツでも特別生涯功労賞を受賞している。藤はキャリアを振り返り「サミットのない山道」と表現しつつ、受賞を機に「生き返りました」と喜びを表現した。映画公開後の楽しみは「台本を裂いて捨てること」と語るなど、演技に対する独自のアプローチを示した。

「第16回TAMA映画賞授賞式」に登壇した藤竜也

俳優藤竜也(83)が30日、東京・多摩市内のパルテノン多摩で行われた「第16回TAMA映画賞授賞式」に登壇し、最優秀男優賞を受賞した。

トロフィーを受け取り「うれしいです。選んでくれてありがとうございます」と感謝。「63年この仕事をやってきて、サミット(頂上)のない山道を歩いているような…。いいかげんくたびれてきて足も痛くてね」と苦笑いし、「後ろから肩たたかれて振り返ったら、TAMA映画祭さんって人が冷たいおいしいお水をいっぱいくれた気がして。生き返りました、ありがとう」と受賞の喜びを表現した。

藤は受賞作品「大いなる不在」で森山未來演じる主人公の父で元大学教授の陽二を演じた。疎遠となっていた息子と久々の再会を果たすも、認知症で変わり果ててしまっている役どころ。同作で23年9月にサンセバスチャン映画祭(スペイン)71年の歴史で日本人俳優初の最優秀俳優賞(シルバーシェル賞)を受賞。さらに、今夏に米ニューヨークで開催されたジャパン・カッツに出品され、藤には同映画祭として初の特別生涯功労賞が授与された。

撮影について聞かれると「後ろ振り返るのが嫌いで、映画が終わると台本裂いて捨てるのが一番の楽しみ」と笑いを誘った。同作について「本読んだら面白くないんですよ。でもできあがって映画見たら年がいもなく興奮しましてね。根こそぎ魂持ってかれた感じした」。役作りについては「何にもしなかった。(役柄の)陽二さんが勝手にやってくれたので楽でした。半分僕も認知症で日々戦っていますから(役に)入りやすかったんでしょう」とおどけてほほ笑んだ。

近浦啓監督(47)は同作で最優秀新進監督賞を受賞した。

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