俳優の大鶴義丹(56)が2日、テレビ朝日系「徹子の部屋」(月~金曜午後1時)に出演。今年5月に84歳で亡くなった劇作家で芥川賞作家の唐十郎さんとの思い出を語った。
大鶴は「少し前から体を壊していたので覚悟はしていた」とした上で「内臓を細かく壊していたり、いろいろやっかいで。最後はいろんなことが重なってあっという間にという感じでしたね」と振り返った。
最期は「父の今の奥さん、異母兄弟2人がみとってくれた」といい、大鶴自身は舞台の初日のためみとることができなかったという。「芝居が終わった瞬間に亡くなったらしく、そこから向かって、(病院に)着いた時にはまだ少し温かさが残っていた感じ。そういう意味ではみとることはできなかったですね」とした。
昔から両親に「舞台の仕事をやると、親の死に目に会えないのは当たり前。その覚悟がないなら他人様の前にお金を取って立つな」と言われていたという。「僕も(舞台が)終わってから聞いたので、あわてずに落ち着いて着替えて、渋谷の劇場から中野の病院に向かいました。劇場から向かう時間でいろんなことを考えながら。多くをやり切った人生だと思いますね」としのんだ。
父は「少し変わったお父さんだった」と振り返り「溺愛してくれたけど、5歳くらいの時に仮面ライダーショーに行くと、『パパは演劇人として見るわけにいかない。お前が一人で見てこい』とチケットを1枚しか買わなくて。知らない家族から心配されるのが恥ずかしくて」と笑った。
父は生前「3度の飯を食べるように芝居をしたい」という言葉を言っていたといい「中年になって、舞台の仕事を数多くやるようになって、なんとなく言っていた言葉を思い出すようになって。日常生活より舞台の時間が多くなったのが楽しくなってきた」と父の言葉をかみかみしめた。
若い頃は「甘えることができたのに、突っぱねてしまった」という後悔も。「戯曲でドラマに出たり、芝居は何本もやっているんですけど、おやじの演出では出ていなくて。『俺の芝居に出るか』と言われたのに、結局突っぱねてしまって。今思うと、一度くらいやりたかった」と悔やんだ。