映画「あちらにいる鬼」の撮影現場。左から廣木隆一監督、井上荒野氏、寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子

作家井上荒野氏の同名小説が原作の映画「あちらにいる鬼」(廣木隆一監督、11月公開)の撮影が14日、都内で行われ、ダブル主演の寺島しのぶ(49)豊川悦司(60)と広末涼子(41)らが取材に応じた。

同作は荒野氏の父である作家井上光晴氏と母、そして昨年11月に死去した瀬戸内寂聴氏をモデルに、男女3人の“特別な関係”を描いた小説。光晴氏と長年にわたり男女の仲だった寂聴氏の関係を、2人の女性の視点から、彼女らの関係と心模様の変化を深く掘り下げた作品は、世間の大きな反響を呼んだ。

寺島演じるのは寂聴氏をモデルにした人気作家長内みはる。豊川は光晴氏をモデルとした作家白木篤郎を、広末は篤郎の妻笙子を演じる。脚本は荒井晴彦氏。寺島と豊川は「やわらかい生活」で初共演後、「愛の流刑地」「劇場版 アーヤと魔女」など何度も共演している。生前、今作の映画化の話を聞いた寂聴氏はとても楽しみにしていたという。

寺島は「荒野さんの小説が大好きで、廣木監督とも映画を作りたいねと話していたら、今回のお話をいただいた。脚本の荒井さんにもお世話になっており、わがままを聞いてくれるし、お任せしたい。いい作品になるのではないでしょうか」。豊川は「おもしろい原作で、これを映画化するのは覚悟がいると思う」、広末も「大学時代の友人や、ママ友からの反響が大きいです。劇場での大人の作品ということで期待されているのでは」とそれぞれ話した。

荒野氏は「この小説はモデルはいるのですが、フィクションです。ただ、ロケを拝見させていただき、豊川さんと広末さんの姿を見た時、懐かしい気持ちになりました。父親に、トヨエツが演じているぞって言ってやりたいです」。

大人の作品ということで、重厚感あふれるラブシーンも予想される。豊川は「今日は寺島さんで、明日は広末さん。井上光晴さんは体力があったんだなと。僕は絶対に無理。憧れるし、生きものとしてのオスなんだとエネルギーを感じます」と言えば、豊川との共演が多い寺島は「身を委ねればなんとかなるという俳優さんです、共演も多いので、服を着ている方が恥ずかしい。以心伝心です」と笑いを誘った。

今年の5月15日は寂聴さんの生誕100年の日に当たる。役作りのために寂庵を訪れたという寺島は「パワーを感じてきました。駄目な男によってパワーをあげたくなる方なんだなと感じました」。荒野氏は「5月15日は父の誕生日でもあり、それは彼女がしくんだのではと思いました。現場で寺島さんを見た時に、寂聴さんだと思いました」と語った。【竹村章】