声優・大塚芳忠、諏訪部順一が4月27日、東京・TOHOシネマズ日比谷で映画『グリーンブック』(監督:ピーター・ファレリー/配給:ギャガ)日本語吹替版公開記念舞台あいさつを開いた。
差別が色濃く残る1962年のアメリカが舞台。黒人用旅行ガイドブック『グリーンブック』を頼りにツアーへ旅立った、ガサツで無教養だけれど人間的魅力に溢れるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)とインテリな黒人天才ピアニスト、Dr.シャーリー(マハーシャラ・アリ)の旅と心の交流を描いた笑って泣ける感動作。第91回アカデミー賞で作品賞を含む主要3部門を受賞しているが、日本でも3月1日より全国公開され153万人を動員し、興行収入19億4000万円を突破するという大反響を見せている。
トニー役を吹き替えた大塚は、「きょうは会場には車で来たのですが、カーナビが進入禁止のところばかりを案内して……。会場に到着できないのではないかと、劇中のトニーと同じような気持ちになりました」と、ストーリーに絡めてウィットに富んだコメントをすれば、シャーリー役の諏訪部も「字幕版が公開されているタイミングでのオファーだったので『劇場公開してるのにマジで!?』と、ビックリしました」と、裏話をポロリ。
大塚とヴィゴ・モーテンセンの吹替版の組み合わせといえば、大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役が有名。「それ以来、一向にヴィゴ役のオーダーがなくモヤモヤしていたので嬉しかった」と再会に感激し「ヴィゴが演じたトニーは乱暴者で教養のない男ですが、僕はそういう人が好き。アラゴルンもいいけれど、どちらかというとトニーが自分には合う。汚い言葉をまくし立てるのが実は大好きなんです」と、より感情移入できたのだとか。すると諏訪部が、お店で売っている石をくすねたトニーを叱るシャーリーに絡めて「今回は指輪ではなくて『石を捨てろ!』ですからねぇ」とアラゴルンいじりをして笑いを誘った。
諏訪部はシャーリーへ「インテリジェンスがあり上品」と性格を分析。「トニーとの掛け合いの中で感情の雪解けがあり、信頼関係が深まる中で人間味が出てくる。気がついたらシャーリーがいい感じになって、その部分を自分の中で表現することを心掛けた」と、ポイントを。吹替の収録は大塚と2人同時に行われ、諏訪部は「芳忠さんとはガチで掛け合ったお芝居は今回が初めて。業界の大先輩ですから、胸を借りるつもりでやって楽しかったです」と感謝すると、大塚も「膝をつき合わせてやりましたね。掛け合いでやるのが1番の楽しみでした」と、胸が躍ったそうだ。
お気に入りのシーンに話が向くと、大塚は「車中でケンタッキーフライドチキンを食べるシーン」といい「クチャクチャと食べてね~。それに声を合わせるのが大変だった」と、声優ならではの苦労紹介。諏訪部は、シャーリーが農場で働く黒人たちを見つめるセリフのないシーンを挙げて「それぞれの人生を考えさせられるシーン。セリフはないけれど、収録時もしっかりと見ていました」と、思い入れを語った。
平成も終わり、新たな時代、令和を迎えることから「新たな時代への抱負」を聞かれた大塚は「昭和からこの仕事をし、平成生まれの方とも一緒に仕事をするようになった。これから先、令和生まれが仕事現場に現れるようになると思う。その際は昭和・平成・令和の3世代のそろったスタジオで令和生まれの声を聞いてみたいね」と、しみじみ。一方、諏訪部は「健康第一!」と宣言しつつ「映画好きとして、映画の日本語吹替は声の仕事として1番親しみのある仕事。ただ、ほかのジャンルと比べて仕事として少ないので、機会があったらまたやりたい」と、抱負を語っていた。
映画『グリーンブック』吹替版は4月26日より全国ロードショー中!