小説『スクラップ・アンド・ビルド』で『第153回 芥川賞』を受賞した作家の羽田圭介氏(30)が4日、都内で同作と『火花』(著者:又吉直樹)オーディオブック同時配信を記念した記者会見に登壇した。
本作は高齢化社会における介護という問題に焦点を当て、4度目となる芥川賞ノミネートで受賞となった羽田氏の作品。声優・江口拓也、中尾隆聖ら複数キャストにより音声ドラマ化となる。一方の『火花』は俳優の堤真一が朗読劇で世界観を表現していく。
“オーディオブック化決定”というTシャツ姿で現れた羽田氏は「まぁ着させられたんですが(苦笑)」と、報道陣を和ませつつ進行。小説を上梓したときへの思いを「異なる価値観を持ち、利害が対立する世代の人たちがお互いの顔の見える距離にいて、過ごしていくことで変化していくということが描きたかった」と、思いを。
本作では現代の社会問題にもなる介護にフォーカスを当ており、「若い方からの手紙はファンレターのようなものが多いが、実際に介護をしている60代くらいの方から頂いた感想文はとても印象が残った」と、その反響を口にする。
そんな作品がオーディオブック化されることへ「おじいさん役の声優さんが『ドラゴンボール』のフリーザ役の方(中尾隆聖)でしたね。最初に聴いたときに、すごく強烈な個性だけど、作品に合っているなと思いました」と、その出来に納得のもののよう。
もし、自身の本以外で、オーディオブックで聴いてみたい作品はないかという質問もされたが、「吉村萬壱さんの『虚ろまんてぃっく』を聴いてみたい。関西のなまりの会話文があったり独特のギャグがあるので、それが音声化されたらどうなんだろうという興味がある」との声も寄せていた。
「視力を衰えた方々や、仕事が忙しくて本をなかなか読めない方、そして一回活字で読んだ作品をまた別の形で楽しみたい方などいろんな方におすすめです」と羽田氏から呼びかけていたオーディオブック『スクラップ・アンド・ビルド』、また『火花』は11月11日よりオーディオブック配信サービス『FeBe(フィービー)』にて配信スタート!