松居大悟監督自身の実体験をモチーフに書かれた、完全オリジナル舞台劇の映画化『くれなずめ』(4月29日公開)。その完成披露舞台挨拶が4月15日、テアトル新宿で行われ、成田凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、前田敦子、松居大悟監督が出席した。
演劇の道に進んだ吉尾和希役の成田は「久々にみんなでこうして集まって…。眺めちゃう!」と“旧友”たちの勢ぞろいに笑顔。撮影も「最高な日々を送りすぎて逆に不安になったくらい。撮影前に1週間のリハ時間があったけれど、そこから徐々に関係性が出来上がっていく感があってワクワクしました」と充実の表情を浮かべた。
劇団を主宰する舞台演出家・藤田欽一役の高良は、脚本の完成度に読んだ途端に浜野に電話してしまったそう。しかし「ハマケンさんはまだ作品にキャスティングされていることを知らず…。伝える順番を間違えた」と苦笑。それでも「普段そういうことを僕はしないので、それくらいに面白い脚本だった。ラストに至っては崇高な気すらした」と松居監督が生み出したストーリーに太鼓判を押していた。
和希たちの後輩・曽川拓役の浜野は、もともと松居監督とは知り合い。だが「僕は共演者の方々のファンなので、撮影中に緊張する時がありました。そんなときに監督のところに行くと、彼も緊張していて『お前に割く時間はない!』みたいな態度を取られた」と苦言。しかし「普段とは違う、そんな監督としての姿にもグッときました」と惚れ直していた。
舞台役者・明石哲也役の若葉は、役作りについて「リハの時間というか、みんなで下ネタを喋っている時間に役が出来上がっていった気がする。リハ後にみんなでゴハンを食べに行き、一緒の時間を共有する中で共通言語を見つけていきました」と回想した。
学生時代の後輩・田島大成役の藤原は、高良からもらった服と成田からもらった靴を履いて登壇。ところが「サッカーをしてきました!みたいな靴になっている」(成田)、「そんな服じゃなかったはず」(高良)と二人に言われ、若葉からも「あまり似合っていないね…」といじられる始末。ところが当の藤原は「僕はいじられていません!」とムードメーカーを自負し「撮影は凄く楽しくて、みんなのことを大好きになりました。みんなの魅力を言えるくらいの発見もありましたから!」と満面の笑みだった。
ネジ工場で働く作業員・水島勇作役の目次は、舞台版の出演者でもある。「メンバーがずいぶん男前になった」と自虐も「掛け合い、テンポ感、ノリ。すべてにおいて舞台版に負けずとも劣らない阿吽の呼吸があった。すごい人たちとやったんだと改めて思いますね」と映画版キャストの魅力と底力に目を丸くしていた。
強い女・ミキエ役の前田は、成田をビンタするシーンに触れて「お互い痛かったですよね」と成田に尋ねると、“ビンタ被害者”の成田は「実は僕が避けてしまって。前田さんが大振りかぶりで歩いてくるので、怖すぎちゃって」と前田の気迫に恐怖。前田が「2、3歩くらい歩いてバン!だったので」とシチュエーションを明かすと、成田は「それを僕が怖がって避けちゃって。それで監督が怒っちゃって。20回くらい撮りました」と苦労した模様。恐縮する成田に前田は「申し訳なかったです…」とシュンとしていた。