エッセイスト・タレントの小島慶子さんが11日、『IBDとはたらくプロジェクト「病気」と「はたらく」のいい関係、ここから。ワークシックバランスひろば~ニューノーマル時代の仕事と治療の両立とは~メディアセミナー』に出席。小島さんは自身の経験を踏まえて、病気を抱えながら働くことについて「いつ病気になるかわからないのは、みんな同じ」と考えを明かしました。
IBD(炎症性腸疾患)とは、主にクローン病と潰瘍性大腸炎を指します。いずれも国の指定難病で、現在日本で 20 万人以上の患者さんがいるとされています。ワークシックバランスとは、病を抱えながら働く人々を取り巻く現状を踏まえた上で、周囲の理解を促しつつ、病を抱えていても自分らしく働くことが当たり前にできる未来を目指す考え方のことを意味しています。イベントには、ヤンセンファーマ株式会社の岸和田直美さん、オンラインから小林拓先生(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患 先進治療センター<IBDセンター>副センター長)が参加したほか、IBD患者代表の奥野真由さんも出席しました。
小林先生はIBDについて「免疫などの異常によって、その名の通り、腸に炎症が起きる疾患」と解説し、炎症を抑える治療が近年で進歩してきたことを紹介。患者の就労に関しては「(患者さんが今や30万人近くいらっしゃるということを考えますと、患者さんの能力や頑張りであったり、そういったことの貢献を活かすという意味でも、周囲や職場、ひいては社会全体にとってもとても重要」と語りました。
クローン病を抱えながら福祉関係の仕事をしている奥野さんは、自身の就活について「採用担当の方に、病気があって『でも私はその部分のコントロールが意外とできるので大丈夫ですよ』と伝えたとしても、ちょっと眉間にしわが寄る人がいるなとか。そういうことに、患者さんたちはけっこう敏感に反応するんじゃないかなと、私の体験談ではありますが思います」と発言。「難病という単語だけで、イメージが先行しないように。『それってどういう病気なの?』とか、『じゃあ、そこをカバーすればできることは?あなたなら何ができる?』というように、その人の強みを伸ばすアプローチというか、働きかけをする視線を持っていただけたらもっと幅が広がる」と考えを明かしていました。
10~20代で摂食障害、30代で不安障害を経験し、40歳を過ぎてからは発達障害の一種である軽度のADHDを診断されたことを公表してきた小島さん。ワークシックバランスについて意見を求められると「いつ病気になるか分からないのは、みんな同じですよね。年齢にかかわらず、誰でも、昨日までと同じように働けなくなることってあります」と考えを述べ「今まで通り働けない状態に自分の体がなっても、安心して働き続けられる職場が当たり前になるような。職場づくりの根本から認識が変わることが結果として、病気をお持ちでない方にとっても『もしそういうことがあっても、自分は大丈夫だな』って安心して働けるので、良いと思うんですよね」と語りました。
また、15年の会社員時代に、9年間は労働組合の執行委員を務めていたことに触れ「33歳の時に、不安障害っていう精神疾患になったんですね。会社にも相談して、治療しながら仕事に復帰して。仕事と治療と子育ての両立をしていたんですけど、その時に会社の人はすごく親身に話を聞いてくれたり『大丈夫ですよ』って言ってくれるお医者様がいらっしゃったりとして、とっても安心して働けたんです」と述懐。「『まともに働けない人』みたいなレッテルを張られたらどうしようっていう不安がとても大きくて。その不安があるだけで、なかなかハッピーに暮らせないんですよね。仕事をしていても。だから、多くの人がそういう不安を今も抱えているのだとしたら、病気との両立だけでは不安を取り除くということも大切だな思います」と持論を展開していました。
- セルフドクター
Fujisan.co.jpより