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「明太子を世界中に広めていきたい」株式会社島本食品代表・波多江正剛氏が語る今までの挫折とこれから見据える未来



「KENJA GLOBAL」。この番組は、現代を生きる「KENJA=経営者」の言葉を、独自の視点で捉え、視聴者にお届けする経営者インタビュー番組です。


今回、その「KENJA GLOBAL」に伝統の製法と国産の厳選素材にこだわり続ける「株式会社島本食品」代表取締役社長・波多江正剛さんが登場。自身が歩んできた歴史や仕事に対する想いを語ってくれました。


島本食品は1976年福岡で創業。今では希少となった北海道産の原材料と丁寧な伝統製法による明太子の製造・販売を行っており、時代のニーズに応えた加工食品は業界内でも注目を集めています。


波多江正剛さん(以下、波多江):「世の中のほとんどの明太子っていうのは、だいたい原材料がロシアとかアラスカ産なんですけども、当社の場合は北海道産の卵を使った明太子というのを特徴にしております。卵自体が美味しくないとやっぱり明太子って美味しくないんですね。」


1972年、海産物を取り扱う家業の両親のもとに生まれた波多江さん。幼少のころの記憶は苦いものだったといいます。


波多江:「当時は実家の仕事が厳しい時代が続いていまして。私は幼稚園から帰ってくると加工場に行って商品の箱詰めをしたりしていました。正直に言うと嫌でしたね。しかし、嫌だとは言えませんでした。というのも父も母も朝から晩まで働いているのを見ていましたので。」



少年時代をつらい日々だったと振り返る波多江さん。一度家業から離れたいと東京の大学へ進学。その後、自分を変えるには世界しかないと十数か国を巡りました。


波多江:「バックパッカーをしていると、やっぱり世界は広いなと、小さな自分に気が付けましたし自分の中の世界も広がっていくし、やってよかったなと思いますね。」


その後、家業の継承を見据え、他の企業で研鑽を積む道を選んだ波多江さん。しかし、一年後に父が他界。社長となった母の要請で、当時あったグループ会社の責任者に就任します。


波多江:「当時、自分の頭の中とやれていることにギャップがあって。社員さんともうまくいかなかったし、取引先ともうまくいかなくて。最終的には清算するという形の決断をしました。それは母からも『これがあんたの今の実力や』と言われました。会社というのは一人一人の思いが集まって一つの形になっています。一人一人の思いをくみ取ってやっていかないと会社はうまくいかないと思いました。」


会社は社員と一緒に作るものだと母から学んだ波多江さん。その後は社内の経営企画室へ。そして7年前に代表取締役に就任。まず着手したのはブランドイメージの刷新でした。


波多江:「明太子業界というのは、お中元、お歳暮というものにすごく依存している業界なんです。しかし、お中元、お歳暮というものを送る人がどんどん減っていっているんですね。そういった中で売り上げも落ちていきました。このままじゃいけないと思い、ブランディングを変える決断をしました。我が社のマークのモチーフは明太子なんです。明太子にも見えますし、ハートのようにも見える。ハートが三つあるのは、明太子の送り手と送られる人。それと私どもの会社の社員を表しています。この三つのハートが折り重なって一つの価値を作っていくという意味であのマークにしたんです。」



高品質の明太子とおしゃれなパッケージングは新たな顧客の開拓につながると経営方針を固めた波多江さん。しかし、思わぬ結果に直面してしまいます。


波多江:「その後、何が起こったかといいますと、急激に売り上げが落ちてしまったんです。要はロゴも何もかも変えたので、お客様から見たら島本食品が無くなったように思われてしまったんです。ピンチの上にまたピンチになってしまった。しかし、半年ほど経って『美味しかったよ』、『パッケージもかっこいい』と、少しずつ良い評判が増えてきました。店でもお客さんから『素敵ですね』といわれるようになったりして、少しずつ少しずつお客さんが増えてきて、女性のお客さんも増えて、何とか今経営方針を変えて良かったかなという所まで回復してきています。」


なんとか業績回復の道筋にこぎつけた波多江さん。その視野は今、世界を見つめています。


波多江:「明太子を世界中にもっと広めることができないかなと。事例として一番成功しているのはワインじゃないかと思っています。ワインが好きな人だったら一回はボルドーとか、ブルゴーニュとかに行ってみたい、そこの酒蔵巡りをしてみたいと思うんですね。だからそれと同じように明太子も世界中に広げていって、いつか世界中の人が明太子の本場である福岡、博多に行ってみたいと思ってくれるようになるんじゃないかと思っています。


そうしたら私たちの子供とか孫の世代の時にはまた違う世界になっているんじゃないかと。」


こうした思いから、国内だけでなく世界を見据える波多江さんは、明太子組合の若手と一緒に働き始めるなど、交流を深めています。そこには商品を超えた強い思いがありました。


波多江:「明太子の本質とは何なのか、言ってしまえばスケソウダラの卵巣という形になるんですけど、そうじゃないんですよね。私たちが運んでいるのは『お客様同士の心』だとか、『繋がり』だとか『絆』とかですね。そういうものを実は明太子を通して実現しているのであって、それが本物の良い明太子であるということが私たちのプライドです。そして、その明太子が繋がっていくことが、事業が拡大していくという事でもあると思いますし。その思いを大事にしていきたいなと思っています。


最後に波多江さんに日本を背負う若者へメッセージを送ってもらいました。


波多江:「失敗することの中から分かることもあるし、失敗があるからこそ成功が作っていける。私も山ほど失敗していますし、今でも失敗し続けています。でも、その中から新しい何かを作っていきたいし、子供たちが喜んでいけるような未来を創っていきたいと思っていますので、ぜひ、この日本を素晴らしい国にするためにもですね、みんなで失敗しながら新しい価値を創っていけたらなと、思っています。」


「株式会社島本食品」代表取締役社長・波多江正剛さんのお話でした。いずれは明太子が世界に羽ばたき、福岡がその生産地として世界にその名を広げていくという波多江さんの目標をぜひ叶えていって欲しいと思います。

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