すっかり恒例となった夏の特別企画、神奈川県にある三和交通の「心霊スポット巡礼ツアー」の乗客応募が7月1日18時からスタート。インターネットHPから応募できて、抽選になります。
https://www.sanwakoutsu.co.jp/special/2019summer/
コースは、横浜・多魔・凍京・不死身野。
巡るのは、運転手さんが実際に心霊体験をした場所や、残虐な事件、凄惨な事故などが発生した現場などを厳選して案内してくれます。
今年は「霊和元年ENDLESSWALTZコース」というオールナイトツアーを用意していて、訪れる心霊スポットは全てシークレット。どこに行くかは当日までお楽しみ。“ガチでヤベー場所、過去最悪…”とのことです。(マジこぇー)
このマガジンサミットで三和交通の心霊タクシーツアーを紹介するのは今年で4度目、私が実際に全国のタクシー運転手さんに聞いた不思議なエピソードも交えながら載せてきました。が、かなりネタも尽きました(笑)。今回も3つのエピソードをご紹介します。ちなみに、実際に私が直接伺った話とネットなどで得た話があります。
【トイレに来たのは?・・・】
タクシー運転手さんが最も困る事のひとつが『トイレ』だそうです。普通の人ならコンビニで借りることも出来ますが、タクシー運転手だとちょっと利用しにくいとか(気にしない人もいるみたいですが)。
なので、トイレは公園の公衆トイレで済ませることが多く、また利用しやすい場所が数カ所決まっているものなんだそうです。また逆に“特に深夜は使いたくないトイレ”もあるとか。理由はガラの悪い連中が多い場所だったり、そして心霊スポットだったりするからです。
40代の運転手Kさんは、ある夏の夜、お腹を壊したようで急に大がしたくなりました。今いる場所からよく利用する公園の公衆トイレは遠い、一番近いのは仲間内では絶対に行かないと噂のトイレでした。そのトイレは、夜中に誰かが入ったのを見たのに無人だったとか、誰もいないのに大の個室から水を流す音がした、など気持ち悪い話がいくつもある所。
でも、運転手さんはソコを目指します。というのも公衆トイレのすぐ隣がコンビニだったから。“非常事態だからいいだろう”と思ってコンビニに到着したら・・・ガーン! 改装中で閉まってる。
誰だって経験があると思いますけど、やっと用が足せると気を抜いたあとってもう我慢できませんよね?“もうダメだ”、仕方なく公園の公衆トイレに駆け込みます。
結構古い、薄暗い電気に羽虫が飛び交い、夏なので蒸し暑く、ニオイもキツイ。
でもそんな事は言っていられません。大の個室に飛び込んでようやく開放されました。が、すべて出すまでって案外時間がかかりますよね。
ふと、思ったんです。“こういう時、誰かが入ってくるとかあったら怪談話だな”
すると、急に誰かが入ってきました。“誰かきた!”
コンクリートの床の上を踏む音。恐怖です。“マジか!!”
いやしかし、オバケなのか? 生身の人間なのか? わかりません。というより強盗など危害を加えられないかという身の危険も感じました。
しかし、姿の見えないソレは小便をしています。“これは、人だろ?”
小便が終わったようで、ズボンのチャックを閉める音まで聞こえます。“そのまま出ていってくれ”
しばらく間があって・・・
コンコン! “ビビった!!”なんとドアをノックしてきました。
普通に考えてみて下さい、小便をしたのに大の個室に用がありますか?
思わす息を呑み「ひぃっ!」と声が出ました。
もしかしたら、と思って扉の上を見上げました。よく誰かが覗いていたなんてことがあるから。
でも顔はありません。
何も出来ず固まったまま、またしばしの間・・・
すると、扉の下の足元の隙間から驚くべきものが!
「はっ!」
なんとトイレットペーパーが転がってきました。ふと壁のケースを見ると紙がありません。慌てて駆け込んだせいか紙の有無などチェックしていませんでした。
“親切な人だったんだ”
「す、すみません」恐恐とした声でお礼を言うと、その人は出て行きました。
怖い思いもしたけれどとりあえずヨカッタ。と思ってトイレの建物を出た時です。
ジャリジャリ・・・足元は小石が敷き詰められています。
“ん!? やっぱりさっきの人は人じゃない!”急いで車まで走りました。
だっておかしいじゃないですか、トイレの建物の前には砂利があって必ずその上を歩かなくちゃならないのに、入ってくる時も出ていく時も砂利の音など聞こえなかった。有りえないんです。そしてもうひとつ、あとで気付いたのですが、人の音はしているのに個室の扉の下から人の影らしきものが映らなかったのもおかしい。
本当にもののけだったのか、もしかしたら人間だったのか、それはわからないのですが、ただ親切にしてくれた事実だけは残ったのでした。
【どっちの魂?】
タクシー運転手Mさんの話(50代くらいの男性)
これ去年のことなんですけどね、夜の12時頃だったかな、繁華街から結構離れたベッドタウンまでお客さんを送って、街まで戻ろうと国道を走ってたんですよ。国道は片側2車線、つまり4車線の道路で、真ん中に人の背丈くらいの植木がある中央分離帯の広めの道、よくありますよね、そんな国道ですよ。
平日の深夜だし、車も少ないので渋滞もないし、ラジオで音楽聴きながら気分よく運転してたんですけど、右側の車線を走っていて、右に緩いカーブに差し掛かった時、突然ですよ、あたりまえだけど、中央分離帯を乗り越えて対向車線から車が飛んできたんですよ! ヘッドライトがバンと目に入って、車の車種もわかりました、大きなSUV、ドライブレコーダーが付いていたのも見えました。
“ぶつかる!”と思ったら人間って不思議ですね、「自分、こりゃ死んだな」って悟るんです。後ろにお客さんを乗せていたら違ったかもしれませんけど、ハンドルを左に切るのも諦めたんですよ。で、ほんの一瞬なのに、今までに体験してきたいろいろなことや家族の顔とか沢山脳裏に浮かぶんです。走馬灯のようにって言うけど、あれホントなんですね。
グッシャーン!!・・・なんていう音と一緒に何もかも終わり、と思ったら・・・
普通に車は走ってる。
あれ?! もしかしたら飛んできた車が自分の車の上を通過したんじゃないかと思って、とっさにバックミラーを見たけど何も起きていない。左車線に車を止めて確かめてみたけど何事もないかのように軽トラックが一台走っていったんです。
飛んできた車はどこ行ったんだ!? あそこまで車がハッキリ見えていたのに絶対おかしい。
そんな体験をしたと話してくれましたが、最後に運転手さんは気になる一言を。
でもねえ、そのあと思ったんですけど、あれがオバケだったとして、人なんですかね? 実は車のオバケっていう気がしてならないんですよ。車に魂ってないはずなんですけどね。
【2度開いたドア】
霊感が強いというタクシー運転手歴が10年という男性Dさん。
ある日、巷でよく“出る”と噂される✕✕トンネルをくぐると、突然後方で“バタバタバタ!”と車を叩くような音がしました。
何だ今の?
ふいにバックミラーを見るとびっくり! 後方のガラスにいくつもの手形がハッキリと付いていたのです。
“これはアレの仕業かな”。そのトンネルは今まで何度も通っていますが、怖い出来事はこれが初めてでした。
その数日後のこと。一人の女性客を乗せました。
女性は乗っている途中でそわそわし始め「そこのコンビニに寄って下さい」と言いました。
車を駐車場へ停めると女性はトイレに駆け込んでいきました。
“ああ、トイレが我慢できなくなったのか”
しばらくして、コンビニの自動ドアが開きました。
“あの女性が戻ってきたかな”と思って見たけれど、誰も出てきません。
しばし間があって、また自動ドアが開きました。でも誰も出てきません。
ドアの正面付近に車を停めていたので中まで見えるのですが、店内の扉付近に誰かが近づいたわけでもありませんでした。まあ、その時は特に気にとめなかったのですが・・・。
ようやく女性が戻ってきました。Dさんは告げられた行き先に向かって車を走らせます。
すると、女性がこんな事を言いました。
女性「運転手さん、最近✕✕トンネルを通りませんでしたか?」
運転手「はい数日前に」
女性「その時、2体の悪い霊が憑いて来たみたいで」
運転手「え!?」
女性「とても危険な霊だったので、今、トイレで祓ってきました」
ガラスに付けられた手の痕は、その悪霊2体だったのか。
そのあと“あ!”と気づいたんです。さっきの自動ドア。そう、おそらく2回開いて誰も出てこなかったコンビニの扉からは、見えなかっただけでその悪霊2体が出てきたに違いないんです。
- DACO(ダコ) 第477号 (2018年03月25日発売)
Fujisan.co.jpより