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スケートボーダーが語り継ぐ東日本大震災の記憶“Don’t Forget Party”


東日本大震災から8年、今なお深刻な問題が残るこの災害を風化させない為に、スケートボーダー達が行っているチャリティーイベントがあるのをご存知だろうか。

“Don’t Forget Party”

3月10日に行われたこのイベントは今年で8回目となり、震災の悲劇を忘れず語りつなぐ為に宮城県塩釜市出身のプロスケートボーダー阿部直央が主宰している。

イベントでは多くのプロスケーターが集まり、スケートスクールやコンテスト、ライブやアートイベントなどが催された。

今年の会場となったのは宮城県川崎町に位置する旧川内小学校の体育館や校舎を改装した屋内施設「KSP(川崎スポーツパーク)」

こちらの施設は日本初の旧校舎を利用したスケートパークとなっており、他にもボルダリング、トランポリン、スラックラインなどの施設が揃っている。

今回の活動で集まった協賛金や会場での募金は、必要経費を除いた全てがKSPへ寄付されるとのこと。

※プロスケーター・阿部直央

Don’t Forget Partyを開催する理由。

それは先人の伝えようとした事から始まっている。

東日本大震災は千年に一度の地震と言われ、千年前も人々が想像出来ないほどの津波が押し寄せたという“印”を残してくれていたにも関わらず、現代に生きる我々がその印の意味を忘れてしまっていた事が被害の増大につながってしまったのではと考え、始まったイベント。

世代をまたいで語りつないでいきたいという想いがこのイベントには込められている。主宰者の阿部直央さんの詳しいインタビュー内容はこちらを(昨年イベント時のもの)

荻堂盛貴

※プロスケーター・荻堂盛貴

宮城県仙台市を拠点に活動し、東北を代表するプロスケーター荻堂盛貴の言葉にパーク内は静寂に包まれた。

「身近にいる人がいついなくなってしまうかは分からない。

今生きている皆が楽しくスケート出来ているのは当たり前の事じゃないからね」

「明日の3月11日14時46分に黙祷して考えてみてください。そうすれば親にも感謝できる。友達にも感謝できる。(その上で)一生懸命スケートボードを続けていけると思います」と語った。

震災時にはまだ生まれていなかった子供達もいる中、みんな真剣に荻堂さんの言葉に耳を傾けていた。

KSP遠藤尚さんインタビュー

※KSP支配人の遠藤尚さん

——自己紹介をお願いします

「モーグル競技でオリンピックに出ていて(2010年バンクーバー五輪、2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪に出場)この春に引退したばかりです。今はKSPの運営などの他に、全日本スキー連盟モーグル競技の代表コーチもやっています」

——KSPが出来た経緯は?

「僕の練習場だった場所にスケートランプが置いてあったのですが、お客さんの中にスケートをする人が多くて“スケーターっていっぱいいるんだね”って話があり、同時に廃校利用の話が出てきて“体育館にスケートパーク作ったら面白いんじゃないか”という所からKSPが出来ました。

中学校の時に周りにパークがなくて、路面が悪い所ばかりだったので“学校でやれたら楽しそうだな”って思ってた夢がある意味叶いました」

——どういう思いでこのイベントに臨まれてますか?

「“震災復興で子供達が元気にやれるなら協力しない手はないよね”ということで、今回は二つ返事で“やりましょう”と。

元々ドントフォーゲットパーティの事は知っていて、ウチでやれたらいいなと思っていたのですごく縁を感じたというか、嬉しかったですね。

KSPでは年間2回のコンテストや現在大きな大会も誘致しているので、今後も色々なスケートシーンで使ってもらいたいなと思っています」

——小学校全体を使ってオールシーズンパーク活用出来るのは全国初ですよね

「今、廃校の再生事業が増えていて色んなところから“どういう風にやってるんですか”と問い合わせがたくさん来ています。

東京五輪でのスケートボード競技が決まり、伸びてきている今、子供たちにもスポーツとしてのスケートボードが出てきた中で、大人のスケートシーンとも共存出来ているのが一番いいのかなと感じています」

Rトリックコンテスト

カーブトリックコンテスト

バンクトゥバンクトリックコンテスト

表彰式

※Rトリックコンテスト表彰

※カーブトリックコンテスト表彰

※バンクトゥバンクコンテスト表彰

※アート作品HOLHY

※ライブ・BCCNoの二人

忘れない為のイベント

「あれは何年前だったっけ?」

どんなに衝撃的な出来事でさえも、時間が経つと記憶の片隅にいってしまう事がある。

彼らが経験した事を風化させない為に、被災者ではない我々にも出来る事は、彼らの想いを少しでも感じる事によってほんの少しでも何かの行動につながるかもしれない。3月11日の14時46分だけでもいい。

目を閉じて、彼らが伝えようとしている事を少しでも感じてほしいと願っている。

写真・文 小嶋 勝美

スケートボードを趣味としており、ライターとしてスケートボード関連の記事を執筆。

約10年間芸人として活動後、現在は放送作家としても活動中。

 

スケートボード テクニックブック
Fujisan.co.jpより
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