1967年から1990年まで、子ども向け映画をまとめて上映していた『東映まんがまつり』が29年ぶりに復活。2019年4月26日より全国の劇場で上映される。
ラインナップは、NHK Eテレで放送中の「おしりたんてい」、月刊コロコロコミック連載中の「爆釣バーハンター」、女の子に人気の「うちの3姉妹」、ダンボール工作が動く摩訶不思議なアニメ「りさいくるずー」の4本立て。
復活の理由について、東映アニメーションの浅間陽介プロデューサーは「本当の子ども向け映画を、映画館という空間で、子どもたちみんなで楽しんでいただきたいという気持ちから」とコメントしている。
子どもたちに大きなスクリーンで大好きなアニメを観る感動を与えて欲しい。
まさかのコラボ!
昭和40~60年くらいのTVプログラムは、夕方からゴールデンの時間帯にアニメや特撮ヒーローの子ども向け番組が沢山放送されていた。見たい番組が裏でかぶってしまいどっちを見ればいいか迷うくらいだった。
そんなヒーロー目白押しの時代に、選ばれしトップ作品をまとめて映画館で観られるのだから子どもたちは「東映まんがまつり」に大興奮したのである。作品はテレビ放送した中から放映するケースが多く、例えば記念すべき第一話を上映するなどしていた。当時は家庭ビデオ機器などなかった時代なので、テレビ放送を見逃した子はもちろん、もう一度あの回が観られるとあって貴重だった。
また、映画だからこそ実現できた夢のコラボ作品には身震いした。今で例えるなら「戦隊シリーズ勢揃い」、「平成仮面ライダー勢揃い」みたいな感じだが、これらはシリーズものなのでコラボは有り得る感じがする。
昔の東映まんがまつりで度肝を抜かれたのは、違う作品のヒーローが一緒に並ぶことだった。これをクロスオーバー作品と呼ぶ。
1973年7月公開【マジンガーZ対デビルマン】
1974年7月公開【マジンガーZ対暗黒大将軍】
テレビ放送に先駆けて、グレートマジンガーが登場。マジンガーZを助ける。
1975年3月公開【グレートマジンガー対ゲッターロボ】
1975年7月公開【グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大決戦】
1976年3月公開【UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー】
1976年7月公開【グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣】
――――――――――
あえて詳しいストーリーの説明ははぶく。いくつかはDVD化されているのでレンタルでもいいから観て欲しい。
このように、テレビでは決して交わることのないロボットヒーローが力を合わせて敵と戦うオリジナル作品となっている。タイトルは“対”となっているが決して互いが戦うわけではない。推測だが“どっちが強い”的なVSの意味だったように思う。
また、このクロスオーバー作品が実現したのは原作者が全て永井豪だったからというのもある。著作権やテレビ放送局の利権など、面倒なトラブルを避けやすかった。ただ、最初の「マジンガーZ(フジテレビ系放送)対デビルマン(NET:現テレビ朝日系放送)」は放送局が異なったため実現は難航したそうである。
衝撃! マジンガーZ敗れる!
- デジモノステーション 2015-12-25 発売号
Fujisan.co.jpより
また、このラインナップの中でも、当時最も衝撃的で子ども社会の話題をさらったのは、1974年7月公開の「マジンガーZ対暗黒大将軍」だった。
マジンガーZといえば当時のロボットアニメで最も人気があり最強ロボとされていた。それが、今まで戦ってきた悪の組織Dr.ヘルの機械獣より数倍強い新しい敵、暗黒大将軍が送り出す戦闘獣にコテンパンにされるのだ。腕も足ももがれ胴体だけ横たわり操縦士の兜甲児もろとも一巻の終わり・・・と思ったその時、新ヒーローグレートマジンガーが登場して戦闘獣たちを瞬殺してしまうのである。
「つ、つえぇ!」アニメなんだけど、チビッコたちはみんなそう思って口をぽかんと開けた。
これがマジンガーZの最後であり、ニューヒーローグレートマジンガーの誕生だった。そしてこの映画の公開後に、TVアニメ「グレートマジンガー」はスタートするのである。
このように「東映まんがまつり」のクロスオーバー作品は、テレビ作品の新展開の伏線として制作されていたのだ。映画を観た子どもは興味津々で次のテレビロボットアニメを見るに違いない。みんなその戦略にハマったわけである(笑)。
29年ぶりに復活する「東映まんがまつり」。これをきっかけに、夢のあるヒーローコラボ・クロスオーバー作品をどんどん企画して欲しい。