暑い!とにかく暑い今年の夏でございます。
外には絶対出たくない!クーラーのきいた部屋で1秒でも長く、1度でも涼しく過ごしたい…そんな毎日でございます。さらに世間的には夏休みシーズン。とはいえ、なかなか海外旅行なんて…でございます。
そこで今回は、読んでいるだけ見ているだけで涼しくなる、世界各地の風を感じられるアートブックをご紹介いたします。そんな都合のいい本あるのかとお思いでしょうが、あるのでございます。
内容のご説明の前にあえて申しますが、ご自身で涼まれるのはもちろん、プレゼントに最適でございます。女性同士で、彼女に、女友達に…、貴方様の評価が上がること間違いナッシングな一冊でございます。
そもそも、この本を知ったのは、先日聴いていたオシャレラジオ局J-WAVEの人気番組「GOOD NEIGHBORS」でございました。その日のテーマは「行く旅、行かない旅」。ゲスト出演されていたブックディレクターの幅允孝様が、その中で選書されていたのが、こちらの本でございました。
「窓から見える世界の風」(著:福島あずさ イラスト:nakaban 出版社: 創元社)
こちらは、「翻訳できない世界のことば」「誰も知らない世界のことわざ」「なくなりそうな世界のことば」などが話題の「世界を旅するイラストブックシリーズ」の1冊でございます。知的好奇心、アート心、両方を満たしてくれる大人のオシャレ良書でございます。
どんな本かというと、目に見えないはずの“風”を言葉と絵で感じさせてくれる本でございます。文章を読んで、その隣に描かれている挿絵を見ると、その場所に吹いているだろう風が感じられるのでございます。それも、世界各国の風でございます。
たとえば、どんな風かというと、アラビア海の商人たちに、船出の季節を告げる風「エレファンタ」、こちらはインドの風。ギリシア艦隊に勝利をもたらし、歴史を変えた風「エテジアン」、こちらはギリシア、トルコの風。日本(愛媛県)の風では、川を流れくだる目で見ることのできる風「肘川あらし」などがエントリーしております。
出版社の内容紹介には、このように書かれております。
それぞれの土地で、それぞれの窓に舞い込む、50の風の便り。地球上では地域によって様々な風が吹き、その土地の気候や風土を形作っている。ある風は恵みの雨をもたらすが、またある風は人間の生活の脅威となる。そして人々は親愛や畏敬の念を込め、古くから風に様々な名前をつけてきた。本書では気象学者である著者が世界の50の風を集め、画家nakabanの絵と散文と一緒に紹介・解説する。旅するようにページをめくり、その土地の空気や、そこに暮らす人々に想いを馳せてみて下さい。と…。
著者の福島様は、まえがきでこうも語っていらっしゃいます。名前が付けけられているということは、その風と、そこに住む人々の生活や文化との間に、なんらかの関わりがあるということ。本来ならば目には見えない風も、そこに住む人々の営みを通じ、具体的に描き出すことができる。と…。
そんな福島さんの風の解説が左ページにあり、その隣の右ページには人気画家のnakaban様の挿絵が描かれております。この絵がとにかく秀逸なのでございます。ほんとに、その風が吹いてくるのでございます。吹いているかのように感じてしまうのでございます。
ぜひ、この感覚を体験して頂きたいのでございます。
また、福島様の文章もゴイスーでございます。気象学者ならではの情報が知的好奇心を満たし、なおかつポエジーな部分もあり、そのバランスが秀逸なのでございます。
まさに、大人の知的好奇心を満足させてくれるアートな体感系“風図鑑”でございます。是非、涼しいお部屋で世界各地の風をご堪能くださいませ。
(文:N田N昌)
- TRANSIT SORA(トランジット ソラ) 特別編集号 (2011年03月15日発売)
Fujisan.co.jpより