岩井ジョニ男のインスタグラムが話題を呼んでいる。【岩井ジョニ男のジョニスタグラム】とタイトリングし、独特のサラリーマン風の容姿をそのままに、どこかで見かけそうな昭和タイプの男のワンシーンを写真に収めアップしている。
5月1日に「恥ずかしながら…」とスタートし、最初の舞台は新橋、6月は上野、7月は新宿である。
その写真をじっと見ていると、日本の高度経済成長を下で支えるかのごとく働いていたお父さんのような「哀愁」が漂ってくる。
例えばドラマだったら、彼はダメサラリーマンで、ミスをしては周囲から笑われる存在なんだけど、何か一つ突出した特技を持っていて、例えば将棋の段位で「ここは地下鉄飛車だ!」と先方の出方を伺い勝利の一手をバシッと決める、みたいな(笑)。そんな会社の危機を救う痛快な係長役とか。でも一人だけ彼を支持するきれいな女性社員がいたりする(笑)。
そんな妄想力まで掻き立てられる。だから、見ていて飽きない。
※写真タイトルは「叱責」。今は少なくなった電話BOXで相手からどんな叱責を受けているのだろう、と可哀想やら笑っちゃうやら…
フォロワー39万人
こんな、おっさんの姿がインスタ映えするとして人気となり、フォロワー数は約39万人。“若い女性に多くフォローされている”、それが凄いとか不思議と聞いたが、インスタグラムは若い女性の大多数がやっているので必然的にそうなるだろうと思う。とはいえ、「かわいい」「カッコイイ」「一緒に飲みたい」という書き込みや“いいね”のリアクションは多く、企画としては大好評である。
この「ジョニスタグラム」、ジョニ男さんとスタッフの酒の席で話が盛り上がり立ち上がった企画だという。漫才コンビのイワイガワでブログは行っているが、個人でインスタやTwitterは手を付けていなかった。「やるんだったら普通の写真を載せるのはつまらない」という意見から、岩井ジョニ男としてではなく“レトロ感漂う一介のサラリーマンの風景”をテーマに写真を載せる企画にしたそうだ。
写真は全てスーツ姿だが、まじまじ見ると、特に着飾ることも、古さでダサくすることもしないで、当時の普通の小綺麗にしているサラリーマンに仕上げている感じ。当のジョニ男さんの見た目が決して冴えないタイプなのがリアルなレトロを醸し出し、それが妙にカッコイイのである。とはいえ、そこにはちょっとした演出もあって、靴と鞄の色は揃え、衣装に差し色を一色変えることでアクセントとなり見栄えがするそうだ。太くてダサめのネクタイにも目立つ色が入ることでおしゃれな匂いが出てくる、味と言うべきか。
現段階ではビジネスとして利益につながっていないけれど、すでに話題になっているので、テレビ出演も増えるだろうし、このインスタ写真から派生して写真集発売とか、カレンダーとか、このサラリーマンを主人公にした舞台やドラマといった展開も考えられる。もしかしたら、思わぬブレイクにつながるかもしれない。
苦節15年
トレードマークのちょび髭を生やし始めたのは2008年頃からだという。そういえば、某局のタレントクローク付近で時々見かける人にちょび髭の人がいた。話したことはないけど、真面目そうでおどおどしている感じで、それこそダサめのスーツをよく着ていた印象が強い、きっとどこかのタレント事務所のマネージャーさんだろうと思っていたのだが、あとになって芸人さんだと知り「なるほど」と納得してしまった。逆に芸人さんで良かった(笑)。
タモリさんの家の前で待ち伏せして弟子入りを懇願し、断られても警察に連絡されてもやめなくて、合計49日も現れたものだから根負けして運転手にされた逸話は有名。
芸人は2003年から始めたとされ、現在芸歴15年。七三分けの髪型、黒縁メガネ、ちょび髭、スーツ姿と、ビジュアルのインパクトは強いのに、ず~っとパッとしないまま時は流れ、ようやく「さんまのお笑い向上委員会」でレギュラーをつかみ取った。そして今、“インスタ映えするおじさん”として生涯最高のブレイクチャンスがやってきたのだ。
所属事務所である浅井企画の先輩、関根勤さんは「平成最後の昭和コメディアン」といって賞賛しているが、彼の笑いのセンスがインスタグラムを介してようやく花開くのか、例えば、流行語大賞に選ばれそうなフレーズなどが生まれるとブレイク間違いなしだと思うが。高校生になる娘さんのためにも頑張って欲しい。
- UOMO(ウオモ) 2018年5月号 (2018年03月24日発売)
Fujisan.co.jpより