成功者がその栄光をつかむまで、多くの屈辱を味わったことを後の体験談などで明かされることがあります。そのエピソードの中で権力を持つ者に冷たくあしらわれたという人もいます。その後成功した者を見て冷たくした者はどう感じているのでしょうか?
今回はそんな“逃がした魚は大きかった”お話です……。
累計売上6000万部 進撃の巨人 諫山創
映画化もされた大ヒット漫画『進撃の巨人』。現在も別冊少年マガジンで連載していますが、作者・諫山創先生は当初、同作を集英社のジャンプに持ち込んだそう。しかしその作品を読んだ担当者は「漫画ではなく『ジャンプ』持ってこい」と言い放ったんだとか。結局、諫山先生はチャンピオンにも断られ、マガジンで評価を得ます。その後、別の作品でマガジンの新人賞を獲得し、進撃の巨人の連載に漕ぎ着けました。そして現在、単行本の累計売り上げ6000万部を突破。
また少年ジャンプはピーク時で約650万部を発行していましたが、17年1~3月期の平均は約191万部となり、200万部を割ったことが先日ニュースになりました。
ハリー・ポッターの生みの親・J・K・ローリング
イギリスの作家・ローリングさんはハリーポッターがヒットするまでだいぶ不遇だった苦労人。シングルマザーで生活保護を受けていたのは有名な話で、貧困と心労でうつ病になったともいわれています。そんな状況で書き上げたハリーポッターを代理人事務所に送りますが、1件目はにべもなく拒否され、2件目の事務所と契約。しかしその後も原稿は8つ以上出版社で蹴られ最後のブルームズベリー社から出版されることになりました。結果、シリーズ累計4億5000万部以上を売り上げ、史上最も売れたシリーズ作品となっています。
ちなみにローリングさんは出版社から送られてきた出版お断りの手紙をキッチンの壁に貼っているそうで、その理由は「断られることで挑戦する勇気がわく」のだそうです。
史上最も偉大なバンド『ザ・ビートルズ』
イギリス・リヴァプールのアマチュアバンド「ザ・ビートルズ」は、デビュー前多くのレコード会社に売り込みをかけますが断られています。中でも有名なのが1962年に受けたデッカ・レコードのオーディション。プロデューサーのロウ氏は「ギターバンドの時代じゃない」と冷たく拒絶。しかしこの年、EMIからデビュー。ヒット曲、名曲を次々と生み出し現在までにCD、レコードの総売り上げは6億枚以上。
このエピソードによりロウ氏は「ビートルズを落とした男」、「音楽史上最大の謝った判断」などの汚名を着せられることになりました。
発明品を「おもちゃ」となじられたグラハム・ベル
電話の元となった機器を発明したグラハム・ベル。ベルはそれほど通信事業に興味がなかったため、電報のネットワークを全国に張り巡らせている大手企業のウエスタンユニオン社(WU社)に特許を買ってくないかと打診。その額10万ドル。しかしWU社の会長は「なんやこれ? 子供のおもちゃをどないせぇちゅうねん。いらんいらん!」との主旨の言葉を浴びせ拒絶。仕方がなくベルは会社を興すと瞬く間に普及。ベルは借金を返したうえで100万ドルが手元に残り、出資者も富を得たといわれています。
一方、WU社は電報が電話に取って代わられ衰退したそうです。
移籍で人気爆アゲ AKB48
05年、デフスターレコーズから『会いたかった』でメジャーデビューしたAKB48。累計売上も5万5000枚と上々な滑り出しでしたが、その後のCDは2万枚台に留まっていました。そんな中、08年、CD購入者向けのイベントが独占禁止法に抵触する恐れがあると中止に。その後、キングレコードに移籍し最初のシングル「大声ダイヤモンド」で9万6000枚を売り上げ、次作「10年桜」で初の10万枚超え。以降も順調にセールスを伸ばし、これまでシングルだけで4000万枚を売り上げたと言われています。
なお10年には、デフスター時代の楽曲のMVなどを収録した「逃した魚たち」をリリースしています。
さて、名もなき新人を冷たくあしらう者、泣く泣く手を結ばなかった者、様々ですが一様にその後の活躍をみれば悔しさもあることでしょう。あの時、見誤っていなければともに出世の道も……、なんて後悔は後の祭りですね。