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【第7回日本スケートボード選手権大会・パーク】ロス五輪へ向けた戦いの幕開けを制したのは、猪又湊哉&菅原芽依


10月27日、江東区有明の「livedoor URBAN SPORTS PARK」で第7回マイナビ日本スケートボード選手権大会パーク種目の決勝が行われました。男子部門では15歳の猪又湊哉が初優勝を果たし、女子では17歳の菅原芽依が初優勝しました。猪又は大胆なトリックで75.69点を獲得。女子では菅原が60.97点で勝利しました。大会は世界選手の選考も兼ねており、2028年ロサンゼルスオリンピックを見据えた若手選手の活躍が期待されています。会場となったライブドア アーバン スポーツ パークは、全面開業したばかりの施設です。

10月27日に江東区有明の「livedoor URBAN SPORTS PARK(ライブドア アーバン スポーツ パーク)」で第7回マイナビ日本スケートボード選手権大会パーク種目の決勝が開催され、猪又湊哉(15歳)が初優勝。2位は天野太陽(16歳)、3位は笹岡建介(25歳)がそれぞれ表彰台入りした。

女子は菅原芽依(17歳)がこちらも初優勝、2位は長谷川瑞穂(14歳)、3位は菅原琉衣(15歳)がそれぞれ表彰台入り。

予選、準決勝ともにトップ通過だった佐竹晃(11歳)は決勝直前の練習で怪我があり、残念ながら決勝を棄権。今大会、パリオリンピック・東京オリンピックに出場経験のある選手の出場は1人もなかった。

会場となったライブドア アーバン スポーツ パークは、2021年に開催された東京オリンピックの会場となった伝説のスケートパークで、今年の10月12日に全面開業されたばかり。

パーク種目決勝は45秒のランを3本行い、一番得点の高かったスコアで順位が決まる。

今大会はワールドスケートジャパン2025年度の強化選手候補の選出も兼ねており、来年春に開催予定のワールドスケートジャパン日本オープンとの2大会の結果を総合的に評価して、強化選手が決定されるとのことで、2028年ロサンゼルスオリンピックを目指す選手にとっても重要な戦いとなる。

【初の日本王者/猪又湊哉】

優勝を決めた猪又湊哉

今年6月に行われたX Gamesベンチュラ大会バート・ベストトリックでアーリーウープ バリアルキックフリップインディ540という驚異のトリックで銀メダルを獲得し、鮮烈なX Gamesデビューを果たした、猪又湊哉。先月9月に行われたX Gamesチバ大会でもバート種目で銀メダル、バート・ベストトリックで銅メダルを獲得し、まさに破竹の勢いで迎えた日本選手権。

猪又湊哉/キックフリップインディ

予選を首位通過、準決勝も首位で通過し決勝を迎えると、1本目のランからいきなり魅せた。

アーリーウープのフロントサイドエアでバンクにトランスファー。
ボディバリアル540、バリアルキックフリップインディ、オーリーアップからのバックサイドリップスライド、フロントサイドオーリー、バックサイドオーリーで繋ぐ。
アイランドと呼ばれるコース中央セクション脇に設置されたレッジに、フロントサイド50-50グラインド、フロントサイド5-0グラインドを決めると、オーリーでコースイン。
続けてヒールフリップインディ、フロントサイドエア ディザスター、ステイルフィッシュエアをフルメイク。
一つ一つの高いエアと、全てのトリックでスピードが落ちない完成度の高さを見せて72.93点を獲得。

猪又湊哉/ヒールフリップインディ

2本目のランでは、オーリーアップのバックサイドリップスライドをワンフットオーリーからのバックサイドリップスライドに変え、続けてフロントサイドオーリー、キックフリップインディ、アイランド脇のレッジではオーリーアップからのフロントサイドテールスライドにトリックの難易度をアップさせると、さらにスコアを上げ75.69点を獲得。

ウイニングランとなった3本目ではダブルキックフリップインディにトライするも失敗。

昨年の日本選手権は決勝8位で終わり、悔しい思いをした猪又だったが今大会、最終的には予選、準決勝、決勝全てでトップを走りきり、まだまだ引き出しの多さを残しての優勝劇を見せてくれた。

【昨年に続き準優勝/天野太陽】

天野太陽/準決勝で見せたボンレス

昨年、茨城県笠間市で行われた第6回日本スケートボード選手権で準優勝を果たしている天野。

今大会予選2位、準決勝も2位で決勝に進む。
1本目のランではインディ540、キックフリップインディ、ボンレス トランスファーなどを決めるが、フロントサイドロックンロールスライドで大きく減速してしまい、フルメイクすることができず2本目に臨む。

天野太陽/アラウンド ザ ワールド

迎えた2本目のラン。
インディ540、キックフリップインディ、オーリーアップのバックサイドテールスライド、オーリーアップのフロントサイド5-0グラインド、セクションを跨ぐように飛んでトランスファーするボンレス、バックサイドオーリー、ディープエンドのコーナーでフロントサイドロックンロールスライドを今回はしっかり決める。
続けてオーリーアップからのフロントサイドスミスグラインド、ステイルフィッシュエア、バックサイド540、デッキを掴んで自身だけがボディバリアルする技アラウンド ザ ワールド、最後にはオーリーアップからのフロントサイドテールスライド フェイキーを決めると72.37点を獲得。

3本目は果敢に攻めた滑りを見せるがフルメイクすることはできなかった。

終わってみれば予選、準決勝、決勝全て2位で今大会を終える形となった。
ちなみに天野は去年の日本選手権でも予選、準決勝、決勝2位。
見ていてこんなこともあるんだなと驚いてしまった。
ともあれ猪又らと共に、次世代選手代表としてロサンゼルスオリンピック予選大会での活躍を期待したい。

【貫禄の滑りを見せた/笹岡建介】

笹岡建介1stラン直後

昨年の日本選手権王者であり、これまでの日本選手権パーク種目全てで表彰台に立ち、3度の優勝を誇る笹岡建介。
今大会は予選7位、準決勝を3位で決勝に進める。

大会最終日はたびたび小雨が降り、競技が中断。

今大会、雨での中断が度々あり選手のコンディションも心配される中、影響をモロに受けたのが笹岡だった。
準決勝の滑走直前に約40分ほどの中断を挟んでのスタートなどもあったが、集中力を切らさずにしっかり決勝まで駒を進める。

決勝1本目ランでは、アイランドと呼ばれるコース中央のセクションからロールイン。
得意のボディジャー、コーナーをフロントサイドスミスグラインドで流し、アーリーウープからのヒールフリップインディ、ディープエンドでバックサイド540。

バックサイドエアでランをつなぎ、オーリーアップからのアイランドコーピングをフロントサイド5-0グラインド。
続けてフロントサイドエア、フロントサイドエア トランスファーのテールバッシュ、リーンtoテールスライド、最後はヒールフリップ ウェドル(ミュート)グラブでしっかり締めくくりフルメイク、得点71.84点を獲得。

笹岡建介/準決勝で見せたアーリーウープ ヒールフリップインディ

その後のランではフルメイクすることができなかったが、貫禄のある滑りで3位表彰台入りを果たした。
先述したが、笹岡は2018年の第2回から始まった日本スケートボード選手権大会パーク種目から全ての日本選手権で表彰台入りしている(優勝3回)。
爆発的な進化を遂げている日本のスケートボードシーンにおいて、若手に負けずこれからもシーンを引っ張っていって欲しい存在だ。

【念願の初優勝/菅原芽依】

菅原芽依/フロントサイドエア

今年9月のワールドスケートゲームス世界選手権イタリア大会では、4位の好成績を残している菅原芽依。
今大会も予選3位、準決勝4位と順調に決勝へと駒を進める。

菅原芽依/マドンナ

決勝1本目のランでは、ファーストトリックで攻めのキックフリップインディを狙うがミス。

しかし2本目のランではこれをしっかり修正させて、キックフリップインディをメイクすると、コーナーでのフロントサイドノーズグラインド、フロントサイドオーリー、マドンナ。

さらにコーナーでフロントサイド50-50グラインド、フロントサイドエア、ディープエンドでバックサイドエア、フロントサイドオーリーで繋ぐと、バックサイド5-0グラインド。

スシバンプと名付けられたセクションをオーリーで飛び越えると、テールグラブエア、最後はウェドルグラブをしてスタイルを入れるジャパンエアから後ろ足を外す、ジャパンワンフットエアでフィニッシュ。60.97点を獲得する。

菅原芽依/ジャパンワンフットエア

3本目のランでは最初のトリックでミスをしてしまったが、最終的に準優勝の長谷川瑞穂にわずか0.19点差で勝利。
見事に日本選手権初優勝を遂げた。

【2年大会連続準優勝/長谷川瑞穂】

長谷川瑞穂/フロントサイドエア トランスファー

今年8月のロックスターエナジーオープンで優勝、9月のワールドスケートゲームス 世界選手権イタリア大会で5位入賞。他にもX Gamesベンチュラ大会2024ではバート種目で2つの銀メダルを獲得するなど、多くの国際大会で活躍を見せる長谷川瑞穂。

今大会予選4位、準決勝6位で決勝に進むと、決勝1本目のランではバックサイド540でミス。

しかし2本目のランではしっかりバックサイド540をメイクすると、そのままフルメイクの滑りを見せ56.25点を獲得。しっかり順位を3位につけると、ラストランの3本目では「絶対に決めたかった」と話していたフロントサイドのキックフリップインディを決めてのフルメイク。

長谷川瑞穂/フロントサイドのキックフリップインディ

ラン3本目。
リーンエア、ステイルフィッシュエア、バックサイド50-50グラインド。
スシバンプでバックサイド360、バックサイドオーリー、バックサイド540をしっかり決め。
バックサイドエア、バックサイドスミスグラインド、フロントサイドエア トランスファー、リーン(フロントサイド)キックフリップインディ、バックサイドオーリー。
これらの技を決めきり、涙を流して喜ぶ姿を見せた。

この3本目のランで60.78点を獲得、1位の菅原芽依にわずか0.19点及ばなかったが、見事2大会連続で準優勝の座に輝いた。

【2度目となる姉妹で表彰台入り/菅原琉衣】

菅原琉衣/バックサイドフィーブルグラインド フェイキー

菅原琉衣は予選7位、準決勝7位で決勝に進む。

決勝1本目のランでは、寿司バンプと名付けられたセクションをオーリーで越えると、バックサイドオーリー、ディープエンドでバックサイドエア。オーリーアップからのフロントサイドノーズグラインド、アーリーウープからのバックサイドロックンロールスライド。
コーナーをフロントサイドリップスライドで流し、バックサイドフィーブルグラインド フェイキーアウトからキャバレリアルディザスター。
バックサイドスミスグラインド、バックサイドエア、フロントサイドロックンロールスライドをフルメイク。
58.44点を獲得すると、2本目のランではトリック構成自体は変わらないものの、完成度を上げた滑りを見せて59.23を獲得。

菅原芽依/菅原琉衣

3本目はフルメイクの滑りを見せることができなかったが、最終的には3位で表彰台入りし、第5回大会(2022年)以来となる姉妹での表彰台入りを果たした(この時は芽依が2位、琉衣が3位)。

【第7回日本スケートボード選手権・男子パーク結果】

1位 猪又 湊哉 –72.93/75.69/59.46 Best/75.69
2位 天野 太陽 –41.83/72.37/53.83 Best/72.37
3位 笹岡 建介 –71.84/10.53/11.55 Best/71.84
4位 櫻井 壱世 –46.89/71.12/54.92 Best/71.12
5位 多久島 樹 –57.00/69.84/19.59 Best/69.84
6位 栗林 錬平 –67.69/68.59/51.23 Best/68.59
7位 櫛田 瑛飛 –2.57/13.33/66.55 Best/66.55
8位 岸谷 晴 –3.21/66.18/26.84 Best/66.18

【第7回日本スケートボード選手権・女子パーク結果】

1位 菅原 芽依 –2.04/60.97/2.19 Best/60.97
2位 長谷川 瑞穂 –27.03/56.25/60.78 Best/60.78
3位 菅原 琉衣 –58.44/59.23/45.11 Best/59.23
4位 小川 希花 –58.25/53.04/15.18 Best/58.25
5位 藤井 雪凛 –55.64/45.19/43.52 Best/55.64
6位 鷹野 芙由佳 –50.17/48.96/47.79 Best/50.17
7位 吉川 莉音 –0.00
7位 佐竹 晃 –0.00
※吉川、佐竹は決勝前練習中の怪我により決勝を棄権

写真・文 小嶋勝美
スケートボード放送作家のスケーター

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