キャッシュレス推進協議会が発表した2022 年のキャッシュレス決済利用動向によると、クレジットカードが約158億回、QR コード決済が約70 億回、交通系IC サービスなどの電子マネーが約59 億回であり、特にQR コードの決済回数は前年比4 割増と大きな伸びをみせています。日本政府が2025 年までにキャッシュレス比率40 %を目指す方針を立てていることもあり、今後、QR コードの決済を含むモバイル決済のさらなるシェア拡大が予想されます。
2022年7月/日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会データ比より。(一般社団法人キャッシュレス推進協議会調べ)
生活が便利になる一方で、私たちは、さまざまなサービスを使いこなさなければならず、かえって混乱してしまうといったこともあるようです。多様化するキャッシュレス決済を便利でお得に利用するためには何を選べばいいのか?今回は、1年間で380 万円分相当のポイントを貯めることに成功し、ポイントで世界一周ファーストクラスの旅を達成したポイ活マスターこと紀村奈緒美さんにお話しを伺いました。
実践!ペイ活3箇条
まず、紀村さんは便利とお得を最大現に活かすための「ペイ活3箇条」を挙げます。ペイ(pay)とは、QRコード決済方式のことで、前出のグラフが示すように、キャッシュレス決済のなかでも近年、利用回数率がもっとも伸びている注目の決済方法です。キャンペーンを展開している会社も多く、お得感がある反面、選択肢も多く、なにを利用すればいいのか迷うところ。
また、ペイは、それぞれ銀行口座、クレカ、チャージ、ポイントなどと紐づいており、どの支払元を選ぶかでその人にとっての便利さやお得さが変化するため、自分にとって何がいちばん良いのかを見極める必要があります。
【紀村流ペイ活3箇条】
1・持っているクレカと連動できるものを選ぶ
2・特化よりも万能系を選ぶ
3・楽しんでポイントを貯めること
紀村さんは「目先のキャンペーンに踊らされて、あれもこれもと複数のサービスを利用すると混乱のもと。まずは使用中のクレカを中心に据え、自分の生活スタイルにあわせて支払いパターンができる“万能型ペイ”を選ぶと便利」とアドバイスします。
さらに、還元されるポイントは無理なく無駄なく、上手に貯めて活用できるかで、お得さが桁違いに変わるため、ポイントが貯まる道筋をつけておくことが大切。ひとつの会社のクレカやペイを相互利用することでロイヤルカスタマーになり、ポイント2重取りなどの優待を受けるとお得の無駄がないそうです。
ズバリ!なにがお得で便利なのか?
そこで、このペイ活3箇条をふまえ、ズバリ!数あるキャッシュレス決済のなかで何が一番お得で使いやすいのかを紀村さんに聞いたところ、個人のライフスタイルによって異なるものの、いわゆる楽天経済圏にいる方ならば、現状では「楽天ペイ」アプリがだんぜん使いやすいと話します。
理由として「楽天ペイ」アプリは「楽天カード」、「楽天銀行」、「楽天キャッシュ」、「楽天ポイント」などを支払い元に設定でき、ライフスタイルにあわせて選択が可能な他、「楽天Edy」のようなIC型電子マネーだけでなく、「楽天ペイ」アプリに登録した「楽天カード」や「楽天ポイント」から、「モバイル Suica」へのチャージが可能になり交通系ICとの連動も充実。2025年以降「PayPayカード」「PayPayカード ゴールド」といった自社クレジットカードのみの登録しかできなくなる「PayPay」とは異なり、他社カードも紐づけできるため利便性が良いそうです。
さらに「楽天ペイ」アプリ利用可能箇所は2022年10月時点で全国約600万箇所+交通系ICカード150万箇所(注1)とトップクラス。とりわけ「楽天市場」でネットショッピングに慣れ親しむシニア層に対しては、「ネットだけでなく、オンラインとオフラインの両方でポイントを使える体験をするとモバイル決済への意識が変わる」と紀村さん。例えば三越や高島屋といった大手百貨店でも「楽天ペイ」アプリの利用が可能なため、「楽天市場」で貯めたポイントを「楽天ペイ」アプリで利用することで買い物の裾野がひろがります。
このように貯めたポイントを友人や家族、パートナーとのお茶代に利用したり、歩けば歩くほどポイントが貯まる「楽天ヘルスケア」アプリを連動したりと、楽しくポイ活を行うことで、よりアクティブで充実した生活を目指すこともできそうです。
どうしたら360万相当のポイントが貯まるのか?
ちなみに紀村さんは、ある日、あまりに高いATMの時間外手数料を前に、キャッシュレス決済で還元されるポイント率の良さに気が付きポイ活に目覚めたそう。試しに、今までバラバラの会社でなんとなく貯めていたポイントをすべてかき集めてマイルに交換、あらたにポイ活で貯めたポイントをあわせたところ1年で360万相当にもなり、使い方によって、ここまでポイントが貯められるのか!と身をもって知ったそうです。
紀村さんは「銀行預金の利子が0.001%だとすると、一般的なクレカのポイントでも1%になります。それって1000倍良いってことです」と、キャッシュレス決済のポイント還元率の良さを指摘。買い物だけでなく、ふるさと納税や公共料金払いなど、生活のさまざまなシーンで利用することで、より便利でお得なポイ活に繋がると話します。
利用中の決済サービスを見直して整理してみよう
今後、ますます競争が激化するだろう、QRコード決済をはじめとした各社のキャッシュレス決済サービス。紀村さんとしては、2024年春から、日本初の共通ポイントとして多くの人に利用されているTポイントと、SMBCグループが提供し、世界中のVisa加盟店で使えるVポイントがセットになった新しい「Vポイント」も気になるそう。現時点ではポイント還元率が低いため、どれだけ期待できるかは未知数ですが、TポイントとVポイントユーザーにとっては気になるニュースかも知れません。
便利でお得にキャッシュレス決済を活用するためには、まず、自分が利用している決済サービスの整理、つまりポイ活から。現在のライフスタイルとはマッチしない決済サービスをいくつも登録していたり、溜まっているのに忘れて活用していなかったりするポイントも見つかるかも知れません。
(注1)600万箇所は楽天ペイ、楽天Edy、楽天ポイントカードの利用可能箇所合計数。
(注2)一部店舗でのご利用分はポイント進呈対象外。