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10月29日から30日にかけてさいたまスーパーアリーナにてスケートボード、BMXフリースタイル、BMXフラットランドの3種目による、賞金総額6000万円となるアクションスポーツの世界大会「キメラAサイドファイナル(CHIMERA A-SIDE –THE FINAL-)」が2年ぶりに開催された。
男子スケートボード種目の優勝賞金は国内大会最高となる1,000万円!女子の優勝賞金は300万円のビッグコンテスト。
スケートボードには東京五輪金メダリスト、堀米雄斗が出場し予選をトップで通過。その後も他を圧倒する滑りで見事優勝し、賞金1,000万円を獲得。
2位はオーストラリアのトミー・フィン、3位には根附海龍が入賞。女子はこの日、16歳の誕生日を迎えた織田夢海が優勝し、賞金300万円を獲得。2位に中山楓奈、3位に上村葵が入賞し、女子は表彰台を日本勢が独占する形となった。
キメラAサイドファイナルは50秒間コース内を自由に滑走するランを2本と、一発技のベストトリックを5本行い、ランの最高得点とベストトリックの上位3本の合計得点で競われた。
※1本10点満点で、最高得点は40点
それぞれ5人のジャッジが採点し、最高点と最低点をカットした3名のジャッジの平均点がスコアとなる。
審査基準は「難易度・完成度・オリジナリティ・バリエーション・リスク」となっている。
【これぞトップオブトップ/堀米雄斗】
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決勝のラン最後に見せたスイッチフロントサイドブラントスライド
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最後はなんとか耐え抜いた
堀米は前日に行われた予選を1位で通過すると、迎えた決勝でも貫禄の滑りを見せる。
1本目のランでは惜しくも最後、6段ステア(階段)横のハンドレールでミスをしてしまうが、2本目では最後着地で見事に耐えきり8.7点を獲得し、優勝への希望をつないだ。
※ラン2本の内、どちらか1本は必ず採用されるのでフルメイク(ノーミスで滑り切る事)が出来ないと優勝はかなり厳しくなる。
ランを終えて1位のジェイク・イラーディと0.1点差でベストトリックに臨んだ堀米は、1本目をミスしてしまうものの、2本目ではバックサイド270ボードスライドを決め9.0点。
3本目ではノーリーフロントサイド270ボードスライドを決め、8.4点。
この時点でトミー・フィンに次いで2位につける。
4本目ではノーリーフロントサイド180ノーズグラインド(スイッチ5-0グラインド)を決め、再び9.0点を獲得。
全選手中、ただ一人9点台を2本獲得して優勝を決めた。
インタビューでは1ヶ月半前に右膝を負傷しており、今回も予選の前日までは滑れるかわからない状態だったが、練習で思った以上に滑れたので出る事を決めたと話していた。
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堀米雄斗/ノーリーフロントサイド180ノーズグラインド
今大会はベストトリックで3本以上メイクしているのが、堀米と準優勝のトミー・フィンだけだったが、膝に不安を持ちながらもここぞという場面ではしっかりとトリックを決める集中力に、格の違いを感じざるをえなかった。
最後に、11月6日にブラジルで行われるストリートリーグ・スーパークラウンのトロフィーと東京五輪の金メダルはどちらが重いかと質問を投げかけたところ、「どの大会も自分にとっては大事な大会だけど、ストリートリーグは自分が小さい頃からずっと見てきた大会で、そこで優勝するという夢は叶えているけど、スーパークラウンのトロフィーだけはまだ持っていないので、来週はスーパークラウンのトロフィーを持って帰りたいです」と話してくれた。
【安定した滑りを見せた33歳/トミー・フィン】
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トミー・フィン/ランで見せたバックサイドノーズブラントスライド
オーストラリアを代表するプロスケーター、トミー・フィンは2本目のランで8.0点を獲得し、5位でベストトリックへ進む。
ベストトリック1本目でバックサイド180キックフリップノーズグラインドを決め7.9点を獲得(ちなみに決勝のベストトリックではトミー・フィン以外全員1本目を外すという波乱の展開に)。
2本目ではバンクトゥバンクのセクションでトランスファー フロントサイドノーズブラントスライドを決め8.6点を獲得し首位で展開を進める。
3本目では6段ステアで360キックフリップを決め、7.9点を獲得し順調に得点を重ねていく。
4本目はミスするも、最後5本目ではノーリーヒールフリップフロントサイドボードスライドをメイクし、8.6点を獲得。
ベストトリックで安定して高得点を獲得し、準優勝に輝いた。
受賞インタビューで「ランであまり良い得点を出せなかったが、ベストトリックで良い結果が出せて良かった」と話していた通り、実際に男子決勝で3本以上ベストトリックを決めたのは堀米とトミー・フィンだけだった。
【ヒールフリップのバリエーションは世界一/根附海龍】
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根附海龍/ヒールフリップバックサイドリップスライド
根附海龍はラン1本目で8.3点を獲得し、3位でベストトリックに臨むとヒールフリップのスペシャリストとしての真骨頂を見せる。
ベストトリック4本目でトランスファー ヒールフリップバックサイドリップスライドを決め、9.1点を獲得。
男子決勝で1番のハイスコアを叩き出した。
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ベストトリック5本目では7.6以上を出せば2位だったが、惜しくも外してしまい3位で今大会を終えた。
インタビューでは「トランスファー ヒールフリップバックサイドリップスライドは、元々ベストトリックでやるつもりはなかったが、様子を見ていたらいけるんじゃないかと思って本番でトライしてみた」と話しており、個人的には世界一ヒールフリップを使いこなせるスケーターだと思っている。
【波乱の展開となった男子ベストトリック】
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男子はベストトリックを3本以上決めたのが、優勝した堀米雄斗と準優勝のトミー・フィンだけという、ある意味では波乱の大会となった。
もちろん各々が持つ、難易度の高いトリックで攻め続けた結果であるが、やはりメイクまで持っていく集中力が今大会は明暗を分けた。
堀米雄斗が世界のトップに立ち続けられる理由が改めて分かった大会でもあった。
【有言実行のキックフリップフィーブルグラインド/織田夢海】
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織田夢海/キックフリップフィーブルグラインド
織田夢海は前日の予選を首位終え、決勝に駒を進める。
予選終わりで「決勝ではキックフリップフィーブルを決める」と話していた通り、決勝のベストトリック4本目で見事にメイク。
今大会最高得点の9.5点を獲得し優勝、自身16回目の誕生日に花を添える形となった。
【女子で唯一無二!ノーズブラント/中山楓奈】
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中山楓奈/バックサイドノーズブラントスライド
中山楓奈は、ベストトリック1本目で得意のフロントサイドK(クルックド)グラインドを6段ステアのハンドレールで完璧にメイクすると、3本目では同じくハンドレールでバックサイドノーズブラントスライドを完璧にメイク。
思わずガッツポーズが飛び出した。
【ビッグセクションを果敢に攻める13歳/上村葵】
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上村葵/バックサイドスミスグラインド
13歳にしてビッグハンドレールに果敢に攻める姿が印象的だった上村葵。
インタビューでは「バックサイドスミスが得意」と話していた通り、大会でもクリーンなメイクを見せてくれた。
観客の応援が力になったと話す13歳の今後のスケートボードに期待が高まる。
【キメラAサイドを彩ったスケーターたち】
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敗者復活戦から勝ち上がったミッキー・パパ/キックフリップフロントサイド50-50グラインド
堀米雄斗がアメリカに移り住んだ際に間借りしていたのがミッキー・パパの家だった。
ちなみに、堀米は現在のデッキスポンサーブランドApril Skateboardsに入る前は、ミッキー・パパと同じデッキブランドのBlind Skateboardsのライダーもあった。
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マウリオ・マッコイ/キックフリップフロントサイドリップスライド
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敗者復活戦、惜しくも僅差で決勝への切符を逃したが、スピードとスタイルで魅了した齋藤丈太郎/キックフリップバックサイドリップスライド
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スイッチトリック(利き足と逆のスタンスでトリックを行う)で一気に世界への階段を駆け上がっているオーストラリアの12歳、クロエ・コベル/スイッチフロントサイドボードスライド
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クロエ・コベル/キックフリップ
決勝では泣きの1回で見事に6段ステアをキックフリップで攻略(得点にはカウントされない)こういうシーンがあるのもスケートボードの大会ならでは。
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予選敗退となったが堂々たるスケーティングを見せた14歳の杉本二湖/フロントサイドリップスライド
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東京五輪でも活躍したオランダのロース・シュウェツルート/フロントサイド5-0グラインド
【CHIMERA A-SIDE –THE FINAL-スケートボード男子結果】
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1位 堀米 雄斗(23)-35.8
2位 トミー・フィン(33)-33.1
3位 根附 海龍(18)-25.6
4位 ミッキー・パパ(32)-23.4
5位 マウリオ・マッコイ(26)-22.6
6位 松本 浬璃(15)-15.6
7位 ジェイク・イラーディ(25)-15.1
8位 デニー・ファム(33)-7.6
9位 齋藤 丈太郎(16)
10位 甲斐 穂澄(14)
11位 シェイ・サンディフォード(25)
12位 石川 大賀(19)
※()は年齢。-は決勝での得点。9位以下は敗者復活戦での順位
【CHIMERA A-SIDE –THE FINAL-スケートボード女子結果】
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1位 織田 夢海(16)-31.5
2位 中山 楓奈(17)-27.4
3位 上村 葵(13)-23.1
4位 クロエ・コベル(12)-13.2
5位 杉本 二湖(14)
6位 キャンディ・ジェイコブス(32)
7位 ロース・シュウェツルート(22)
※()は年齢。-は決勝での得点。5位以下は予選の順位
写真・文 小嶋 勝美
スケートボードの情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。
10年間のお笑い芸人生活を経た後、放送作家をしています。