昨年7月に発刊後、映画化も決定した書籍「さよなら、バンドアパート」。執筆したのは10代からバンドjuJoeで活躍する平井拓郎(写真左)である。三島想平(写真右)はバンドcinema staffで活躍しており、神戸のライブハウスにて共演者として出会う。
今回の書籍では、三島が帯にコメントを残すことになったという。二人の関係性や書籍の見所について話を聞いた。
1:お二人の出会いは?
平井:当時は10代でバンドで結果を出すのは難しいものでした。一方、cinema staffは19歳で結果を出していた。当時、実力のあるバンドが所属している有名なレーベル、残響レコードに最年少で所属していたのが三島のバンドcinema staffだったこともあり、自分にとってcinema staffは同い年で残響レコードに所属した成功者であり、すごいバンドというイメージがありました。自分たちは神戸のバンドですが、cinema staffは10代、20代前半という若さで全国をツアーで周り初めていたので、羨ましかったですね。
平井:神戸から上京した時に、新しくバンドを組みました。その時、ご縁がありcinema staffのイベントに呼んでもらう機会があり、初めてライブをすることができました。その後、cinema staffはメジャーデビューを果たしたんです。そんな姿を見て、cinema staffは5歩6歩先にいるバンドなんだと感じましたね。どうしたらそうなれるのか?真似したいけれど真似できない。生まれつき持っているものが違うのか。と感じさせられる、そんな存在でした。
三島:平井のバンドのことも尊敬していましたし、いいバンドでした。そしていいバンドは自分たちのイベントなどにも巻き込んでいきたいと思っていたので当時声をかけたんです。
2:書籍を読んだ時、どのように感じましたか?
三島:最初はバンドマンである自分と重なる部分が多くて正直辛かったですね。売れたり、事務所に入ると周りからの助言も増え、自分たちの意思よりも先に売れる形に彩られる部分が多くなる。そのようなシーンを読むと自分たちのバンドでの経験も思い出し、追体験しているような感覚になりました。ただ、このバンドの世界のリアリティを上手に描けた人は今までにいないと思うので、本当に素晴らしい作品だと思います。
平井:音楽や表現を仕事にしていない人でも、普通に生きていたらこの作品に共感する部分は多いと思います。例えば、隣の子はああなのになんでできないのと親や周りから比べられ、型にはめようとさせられることとか。
3:帯メッセージへのお互いの想いは?
三島:平井がバンドマンでもあるのに文字を書いていることは前から知っていました。それが本として形になることに感動しましたし、それに関われるのはとても幸せなことだと感じました。
平井:音楽をビジネスとして成立させていく上ですごく考えていた人ですが、表現に嘘をつける人でもなかったので、帯にコメントを書いてもらうイメージができたんです。そして、音楽の話を一緒によくしてきた仲間でもあり、書籍に描いた2001年から2008年の同じ時代を生きていたという意識が強かったのも大きかったですね。
コメントに”心が洗われる”という言葉を使ってくれたのは流石だなと感じました。三島の感想も素直に嬉しいですね。お願いして本当に良かったと思っています。
そんな2人の対談の話題は書籍の映画化についてや今後の音楽業界についてなどに及ぶ。それは後半に続く。
■平井 拓郎 (ヒライ タクロウ)
1987年兵庫県神戸市生まれ。ロックバンドQOOLANDを結成し、ロッキング・オン主催コ
ンテストRO69JACKにてグランプリ受賞。
UNIVERSAL MUSIC JAPANでのメジャーデビューを経て解散。
その後、ロックバンドjuJoeを結成し、無料CDを1万枚配布。1000日以上連続のnote投稿
が話題となり、2021年に『さよなら、バンドアパート』として書籍化。
※版元ドットコムより引用 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784286222219
■➀cinema staff 三島想平(ミシマ ソウヘイ)
cinema staff のベーシスト、ソングライティング担当。
2021年11月3日、4年ぶりとなるフルアルバム『海底より愛をこめて』をリリース。
現在開催中の全国ツアー“海底より愛をこめて”RELEASE TOUR『はじまりの場所』は各
地SOLD OUTとなっている。
所属事務所はTHISTIME RECORDS
■平井 拓郎 書籍
「さよなら、バンドアパート」
発売予定日2021年7月16日
発行:文芸社
ミュージシャンの夢を追って上京した男の波乱万丈の物語。
2022年春、映画化決定!/「バンアパは理想が低い! サザンを目指せ!」
マネージャーの怒声が赤坂の会議室を揺らした。傲慢、横柄、不遜を恫喝で和えた味のする言葉だった。体育教師さながらの体躯をしたマネージャーが、僕たち三人に鋭い眼光を向けている。
ホワイトボードには『二〇一三年の目標』と書かれていた。(本文より)