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“謎の円盤”に100本の柱。世界的建築家・磯崎新が手掛けた「大分県立図書館」



狂気を感じた図書館。


本好きライターによる散策企画『ぶらり、図書館めぐり』第13弾は、大分市王子西町にある「大分県立図書館」へ。


設計を手がけたのは、大分出身の世界的建築家・磯崎新(いそざき あらた)。


巨大な円盤が浮かぶ吹き抜けや、100本の柱が並ぶ「百柱の間」など、館内には思わず足を止めて見入ってしまう空間の数々を体験してきました。


宇宙から地球を眺める?幻想的なエントランスホール


視界に突如現れた四角い建物。



こちらが大分県立図書館です。


重厚な外観を眺めながら館内へ入ると、目の前に広がるのは、自然光が降り注ぐ大きな吹き抜け。



そして、頭上に浮かぶように設けられているのが、巨大なコンクリート製の円盤です。



UFOのような、なんとも異質な存在感。


実はこのエントランスホール、“宇宙空間から地球を眺める”をコンセプトに設計されているそう。


頭上の巨大な円盤が「地球」、高い壁面に並ぶ小さな四角い窓が「星々」を表現しています。



天窓や小窓から差し込む光が、コンクリートの壁や円盤に陰影をつくり出し、無機質な建築に幻想的な表情を与えています。


図書館に入って最初に目にするのが、地球と星。


これから本の世界へ向かうというのに、まずは宇宙へと連れ出されるような、なんとも壮大なお出迎えです。


古代遺跡のような「百柱の間」


エントランスから階段を上がり、2階へ。


目の前に広がるのは、思わず圧倒される大閲覧室「百柱の間」です。



古代ローマやバビロンの遺跡から着想を得たというこの空間。7.5メートル間隔で、100本の柱が整然と並びます。



この壮大な空間を包み込むのが、磯崎新が考案した「スーパーアンビエントライティング(超間接照明)」。


天井に光を当て、その反射光で室内を照らすことで、窓から差し込む自然光とも調和した、やわらかな明るさを生み出しています。



100本の柱と、空間を満たす光。


ふと本から顔を上げるたびに、その壮大で幻想的な光景に目を奪われます。


螺旋階段を下りて、1階の公開書庫へ



百柱の間の中央に凛とそびえ立つ、全面ガラス張りのシースルーエレベーター。



エレベーターで1階へ下りると、発行から20年以上が経過した資料を中心に所蔵する「公開書庫」が広がっています。



約30万冊の本が整然と並ぶ、静かな空間。


正方形の窓の向こうには庭が広がり、春には窓越しに満開の桜を楽しめるそう。



2階へと続く螺旋階段もまた、目を引く美しさ。




館内を巡ると、書庫の静かな佇まいから、思わず見上げたくなる建築の造形まで、さまざまな表情に出会えます。


傘入れまで正方形!館内に隠された幾何学のこだわり


ここまで館内を歩いてきて、ふと気づくことがあります。


窓や壁、エレベーターのボタン、そして傘入れまで。館内のあちこちに、正方形のモチーフが隠されているのです。



大分県立図書館の建築を読み解くキーワードのひとつが、この「正方形」。


エントランスには約15メートル四方の吹き抜けがあり、コンクリートの型枠や壁の目地、ガラスブロックなど、建物の細部にも正方形やその相似形が取り入れられています。



これは単なる装飾ではありません。


磯崎新は、大きさの異なる正方形や立方体を組み合わせ、人類が長い歴史の中で蓄積してきた学問や知識の体系を表現しようとしました。



膨大な本や資料が収められた図書館。その目に見えない「知の集積」を、建物そのものの幾何学的な構造に重ねているのです。


正方形がつなぐ、ふたつの図書館


大分県立図書館の創立は、明治35年(1902年)。全国の都道府県立図書館の中でも4番目に古く、空襲による焼失や戦後の再建を乗り越えてきました。


昭和41年(1966年)に建てられた旧館も、磯崎新の設計。現在は、磯崎の建築や芸術作品を紹介する文化施設「アートプラザ」として活用され、国の登録有形文化財にも登録されています。


平成7年(1995年)に開館した現在の図書館へ、旧館から受け継がれたもの―


それが、正方形。



旧館では建物の拡張や成長を表していた正方形のモチーフが、新館では人類が積み重ねてきた知識や記憶の象徴へと、その意味を変えています。


日常を忘れる、建築の迷宮


光の中に浮かぶ巨大な円盤に、古代遺跡を思わせる「百柱の間」。そして、館内のあちこちに散りばめられた正方形。



本や知識を収め、地域から愛される図書館でありながら、そこには宇宙や歴史、人類の記憶にまで思いを巡らせる壮大な世界が広がっています。


その大胆な発想と、細部にまで貫かれたこだわり。美しさの奥に、建築への狂気すら感じる。そんな図書館体験が広がっていました。


大分県立図書館

住所  :〒870-0008 大分県大分市王子西町14番1号

開館時間:平日 9時~19時まで/土・日・祝日 9時~17時まで

休館日 :毎週月曜日(月曜日が休日と重なった場合は直後の平日)

     年末年始(12月28日から1月4日まで)、資料整備期間

アクセス:西大分駅より徒歩15分 · 大分駅より徒歩25分


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